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○研究項目A03: 小分子生体内挙動の多階層システムバイオロジー研究

生体機能には多臓器間の相互作用により発現するものがあります。そのひとつが、血中のイオン、糖や脂質、ホルモンなど小分子濃度の恒常性の維持です。本項目は、生存に必須のこの生体高次機能システムを如何にしてモデル化し、研究するかという課題のトップダウン的アプローチによるシステム研究です。小分子としては、まず生合成過程がなく複雑性の低い小分子としての薬物に焦点を絞り研究をスタートします。生体内の薬物動態には、吸収(腸管)・代謝(肝臓)・分布(全身臓器)・排泄(腎臓)、と複数臓器が関与します。薬物の血中濃度制御は、まず各臓器のカギとなる薬物トランスポーターおよび代謝酵素のネットワークとしてモデル化できます。A01班と密接に連携をとりながら、薬物と種々の代謝酵素・輸送分子との相互作用による薬物の分子変換・分子移送、また系にperturbationが加わった場合等の生体システムの状態遷移を含めた薬物動態の数理モデルを構築します。カギとなる輸送・代謝蛋白質は、各臓器の上皮組織の多階層システムの中で、その発現量や細胞内局在が制御されて機能しています。このシステムを理解するために、小分子ベクトル輸送・代謝の視点から、各上皮組織の多階層モデル構築を行って行きます。後期には、より厳密な濃度制御が必要である無機イオンや生合成過程が存在する脂質やホルモンなど内因性小分子の恒常性維持のシステムバイオロジーへと発展させる計画です。

肝臓