証明書・各種支援・提出様式等

山村賞

第11代大阪大学総長として大阪大学及び大阪大学医学部の発展に大きな足跡を残された故山村雄一名誉教授を記念して、本学を代表しうる、特に優れた学生に山村賞を授与しています。

山村賞受賞者一覧(平成15年度~)

令和6年度山村賞受賞者

杉原礼一  博士課程3年(早期修了)

Alignment of single-cell trajectory trees with CAPITAL

シングルセルデータを用いた分岐を含む細胞分化経路の比較解析手法の開発

山村賞受賞のことば 杉原礼一

この度、山村賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。医学部3回生の基礎研究室配属より博士課程を通じて、ご指導ご鞭撻を賜った河原行郎教授、加藤有己准教授をはじめとした神経遺伝子学講座の皆様、ならびに研究生活をご支援いただいた全ての方々に厚く御礼申し上げます。シングルセルRNAシークエンシング(scRNA-seq)は、膨大な遺伝子発現情報を1細胞単位で取得できる強力な技術で、近年多くの研究に活用されています。私は本研究において、scRNA-seqデータを用いて、細胞分化の過程を異なる条件間で比較する情報解析手法の開発に取り組みました。日々技術革新が進むバイオインフォマティクスの分野に身を置き、変化と挑戦に富んだ研究活動に従事できたことは、大変貴重な経験となりました。今回の受賞を励みに、今後も医学研究の発展に寄与できるよう、一層精進してまいります。

小嶋崇史  博士課程4年(4年次9月早期修了)

Body mass index stratification optimizes polygenic prediction of type 2 diabetes in cross-biobank analyses

BMI層別化が2型糖尿病のポリジェニック予測を向上することを示したバイオバンク横断的解析研究

山村賞受賞のことば 小嶋崇史

この度は山村賞という大変名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。ご指導ご鞭撻を賜った岡田随象教授をはじめ、遺伝統計学教室の先生方、お世話になった他研究室の先生方、そして膨大なゲノムデータの構築にご協力いただいた全ての方々に心より御礼申し上げます。ゲノム医療への期待は年々高まっており、特にゲノム情報に基づく個別化予防は健康寿命の延伸や医療費抑制といった観点でも注目され、大規模な予防効果の検証が進められつつあります。博士課程では、日本人集団における2型糖尿病の遺伝的リスク予測低下問題の解決に取り組みました。当初の仮説とは異なる結果に驚きながらも、半信半疑の中でその妥当性や医学的意義の検証を重ね、共同研究者からの鋭く建設的なご指摘に頭を悩ませながら結果を丹念に積み上げる貴重な経験と学びの日々を過ごせたことに、深い感謝と喜びを感じております。今回の受賞を励みに、医学の発展に資する研究を進め、成果を通じて皆様に還元していきたいと考えております。

安部政俊  学部6年

Self-Supervised Learning for Feature Extraction from Glomerular Images and Disease Classification with Minimal Annotations

自己教師あり学習を用いた効率的な糸球体画像病変分類AIの開発

山村賞受賞のことば 安部政俊

この度は山村賞という非常に名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。研究についてご指導くださいました猪阪善隆教授、データ解析に親しむための計算環境を整備くださった岡田随象教授,菊池 章教授、また、研究室の皆様には、実験データの収集や解析において多大なるご協力をいただきました。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。本研究では、腎病理画像を基にした疾患分類において、効率的かつ高精度なAIモデルの開発を自己教師あり学習の利用によって成し遂げました。作成されたAIモデルはより少ない労力でも疾患分類ができるうえに、人間の指示なしに腎病理画像から重要な組織学的特徴を抽出する能力を有しており、腎臓内科診療や病理診断の現場での実用化が期待されます。今回の受賞を励みとし、今後もAI技術を駆使した医学研究を推進し、医療の発展に貢献できるよう、より一層精進してまいる所存です。

髙橋勇伍  学部6年

Statistically and functionally fine-mapped blood eQTLs and pQTLs from 1,405 humans reveal distinct regulation patterns and disease relevance

山村賞受賞のことば 髙橋勇伍

この度は山村賞という非常に名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。これまでご指導を賜りました岡田随象教授、王青波准教授をはじめ、遺伝統計学教室の先生方、ならびにコロナ制圧タスクフォースの活動にご協力いただいた全ての皆様に、心より御礼申し上げます。 私は学部生として、基礎医学研究に早期から携わる特別教育プログラムに参加し、研究室における複数のプロジェクトに関わる機会を頂きました。膨大なオミクス解析を通じて、疾患関連遺伝子の理解を深める一連の研究に触れられたことは、非常に貴重な経験となりました。近年の生命科学の研究は、データの大規模化や解析手法の高度化に伴い、分野横断的な共同研究の重要性が高まっています。実際にその一端を経験し、協働によって生み出される学術的価値の大きさを実感いたしました。このたびの受賞を励みに、今後も医学・生命科学の発展に寄与できるよう、一層精進してまいります。

令和5年度山村賞受賞者

枝廣龍哉  博士課程4年

Single-cell analyses and host genetics highlight the role of innate immune cells in COVID-19 severity

シングルセル情報と宿主ゲノム情報の統合解析によるCOVID-19重症化における自然免疫細胞の関与の解明

山村賞受賞のことば 枝廣龍哉

この度は山村賞という非常に名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご指導ご鞭撻を賜った熊ノ郷淳教授、岡田随象教授をはじめ、呼吸器・免疫内科学教室の先生方、遺伝統計学教室の先生方、そしてデータ構築にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼申し上げます。大学院に進学した時期がCOVID-19パンデミックの真っ只中で、呼吸器内科医ということもあり、博士課程ではCOVID-19をテーマに研究を行いました。COVID-19の国内・国際コンソーシアムに参画する機会をいただき、COVID-19重症化メカニズムの一端を解明することに貢献できたこと、超一流の研究者のサイエンスに真摯に取り組む姿勢やチームサイエンスを肌感覚で体感出来たことは、一生の財産となりました。今回の受賞を励みとしまして、医学研究の発展に少しでも貢献できるよう、より一層精進してまいります。

友藤嘉彦  博士課程4年(4年次9月早期修了)

Prokaryotic and viral genomes recovered from 787 Japanese gut metagenomes revealed microbial features linked to diets, populations, and diseases

日本人787名の腸内細菌叢データから再構築された原核生物・ウイルスゲノムに基づく、食生活、人種集団、疾患と腸内微生物叢との関連の解明

山村賞受賞のことば 友藤嘉彦

この度は山村賞という名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。ご指導ご鞭撻を賜った岡田随象教授をはじめ、遺伝統計学教室の先生方、お世話になった他研究室の先生方、そして私共の研究にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼申し上げます。私は大学院博士課程を通じて、メタゲノムショットガンシークエンシングによる腸内微生物叢解析に取り組んでまいりました。特に、今回の研究では、日本人の腸内に存在する腸内微生物のゲノムのデータベースを構築し、食事・病気・人種集団と腸内微生物との関係を明らかにしました。本研究に際しては、様々な教室の先生方からご指導を賜ることができ、今日の医学研究における共同研究の重要性を肌で感じるとともに、このような最高の研究環境で大学院博士課程を過ごせたことを幸甚に存じます。今回の受賞を励みに、今後も医学への貢献を目指し、さらなる精進を重ねてまいります。

橘田真理  学部6年

Golgi membrane proteins YIPF3 and YIPF4 regulate turnover of the Golgi apparatus through autophagy

ゴルジ膜タンパク質YIPF3/YIPF4はオートファジーによるゴルジターンオーバーを制御する

山村賞受賞のことば 橘田真理

この度は大阪大学医学部の伝統ある山村賞を賜り、大変光栄に存じます。2年のころより研究指導いただいた吉森保先生、久万亜紀子先生をはじめとした遺伝学教室の方々、受賞対象である研究に関わった全ての皆様、入学直後から研究を含め学生生活でお世話になった神経内科の池中建介先生、角田渓太先生に、心より感謝申し上げます。遺伝学教室の門を叩いて以降、オートファジーに関する複数の課題に取り組んできました。初めの2つの研究課題は安定した結果を得ることができず焦燥感に苛まれたこともありましたが、最終的に新たな課題で一つの形にできたのは紛れもなく皆様のご支援なしには成し遂げられませんでした。本研究ではオートファジーによるゴルジ体分解における認識機構の一端を解明できました。その過程ではCompetitorであるハーバード大学からpreprintが投稿されるなど非常に心身がすり減る生活を送っていましたが、このように本研究成果により受賞いただき大変報われたように思います。この経験を活かし、今後も少しでも医学に貢献できるよう精進してまいります。

島田理人  学部6年

Effect of the new silicon-based agent on the symptoms of interstitial pneumonitis

間質性肺炎の症状緩和に対するシリコン製剤の効果

山村賞受賞のことば 島田理人

この度は山村賞という大変名誉ある賞を賜り、身に余る光栄に存じます。3回生の基礎研究室配属にて現在の研究室に所属させていただいて以降、日々の研究や学会発表、論文作成と多岐にわたりご指導いただきました島田昌一教授、小山佳久助教をはじめ、神経細胞生物学講座の先生方にこの場を借りて心より感謝申し上げます。本研究では抗リウマチ薬のメトトレキサート(MTX)誘発性の薬剤性間質性肺炎モデルを用いて、新規抗酸化剤であるシリコン製剤の間質性肺炎の症状緩和に対する有効性について検討を行いました。間質性肺炎に限らず、未だ効果的な治療法が得られていない疾患は様々存在し、それらを探求していくことは我々医療人に課された使命と考えています。

令和4年度山村賞受賞者

水谷夏希 博士課程4年

Interaction between S4 and the phosphatase domain mediates electrochemical coupling in voltage-sensing phosphatase (VSP) 

電位依存性ホスファターゼ(VSP)は電位センサードメインと酵素ドメイン間の直接相互作用により電気信号を化学信号に変換する

山村賞受賞のことば  水谷夏希

この度、名誉ある山村賞を賜り大変光栄に存じます。修士課程から6年間、研究に関することだけでなく一人間としてたくさんのご指導をいただきました岡村康司教授をはじめ、統合生理学教室の皆さまにはこの場を借りて心より感謝申し上げます。ヒトの体は数十兆個もの細胞で構成されており、個々の細胞の膜上にはイオンチャネルをはじめとする電位依存性膜タンパク質分子が存在しています。私は電気生理学的手法を用いて、それらの分子メカニズムを明らかにすべく研究を行ってきました。このような膜タンパク質分子は極めて小さいにもかかわらず、生物が考えたり行動したりするのに不可欠で、その機能異常は不整脈やてんかんなどの重篤な疾患の原因となり得ます。私は、生命活動はもとより疾患にも関連する分子の詳細を解明することで、分子機構に則した効果的な治療法開発の足掛かりを築き、研究成果を臨床医療に還元したいと強く思っています。今回の受賞を励みに、医学の発展に貢献できるよう今後もより一層精進してまいります。

白井雄也 博士課程4年

Multi-trait and cross-population genome-wide association studies across autoimmune and allergic diseases identify shared and distinct genetic component     

自己免疫・アレルギー疾患を横断的に検討した多形質ゲノムワイド関連解析

山村賞受賞のことば  白井雄也

この度は山村賞という大変名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。ご指導ご鞭撻を賜った熊ノ郷淳教授、岡田随象教授をはじめ、実験をご指導していただいた呼吸器・免疫内科学教室の先生方、データ解析に際してご助言を頂いた遺伝統計学教室の先生方、そして膨大なゲノムデータの構築にご協力いただいた全ての方々に厚く御礼申し上げます。近年、ビッグデータ解析は注目され日々新しい解析手法が提唱されていますが、重要なのは着眼点を明確にしてデータの品質管理を徹底するという基本的な事項の積み重ねであると大学院にて学びを得ることができました。今回の研究では、自己免疫疾患とアレルギー疾患の遺伝的背景の違いと、一部共通した影響を及ぼす遺伝子多型の存在を明らかにしました。今回の受賞を励みに、臨床現場のデータから得られた知見をもとに、臨床へ還元できるような研究を発展させられるよう今後も精進してまいります。

春名壯一朗  学部6年

Local production of broadly cross-reactive IgE against multiple fungal cell wall polysaccharides in patients with allergic fungal rhinosinusitis   

山村賞受賞のことば 春名壯一朗

この度は山村賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究において、長年ご指導くださいました菊谷仁先生、榊原修平先生、武田和也先生、ならびに在学中お世話になりました他研究室の先生方、この場をお借りして心より感謝申し上げます。私は在学時の研究テーマとしまして、アレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)における抗原特異的IgEの性状解析を行いました。本研究を経て、今回扱った疾患に限らない幅広い免疫学領域の知識や実験技術を習得することができ、今後研究活動を行っていく上での基礎を習得することができました。今回の受賞を励みに、継続的に医学研究を続け、少しでも医学の発展に貢献できるよう、より一層精進して参る所存であります。

Dear Prof. Daron M. Standley, Thank you for your warm welcome when I was in the 5th grade. With your help, I have been acquiring further knowledge and skills in research activities. I will absolutely contribute to our research.