心臓血管外科手術技術創新
- 大動脈瘤に対する新たな低侵襲血管内治療技術の開発
- 大動脈解離に対する血管内治療の適応拡大と治療戦略の最適化
- ステントグラフト治療の10年以上にわたる長期耐久性の検証
- 大動脈疾患および外科的治療が循環動態・心臓後負荷に及ぼす影響の解明
新たな心臓血管外科治療の創出と、長期成績・循環生理に基づく治療戦略の最適化
心臓血管外科領域では、医療機器の進歩と低侵襲治療の普及により治療選択肢が拡大しています。一方、患者の高齢化や病態の複雑化に伴い、既存の治療技術では対応が困難な症例も存在します。本講座では、新規デバイス・手術技術の開発と臨床研究を通じて、より安全で効果的な治療戦略の確立を目指しています。特に大動脈疾患を中心として、以下の研究に取り組んでいます。
【1.大動脈瘤に対する低侵襲血管内治療技術の開発】
近年、本邦でも分枝型ステントグラフトなどの新たな医療機器の承認が進み、複雑な大動脈瘤に対する血管内治療の選択肢が拡大しています。しかし、既存デバイスには解剖学的な使用制限があり、病態によっては適応外となる症例も少なくありません。本研究では、これらの制約を克服し、より幅広い解剖学的形態や病態に対応できる新規デバイス・手術技術の開発を進めています。
【2.大動脈解離に対する血管内治療の適応拡大と治療戦略の最適化】
大動脈解離に対する血管内治療の適応は拡大していますが、複雑な解剖学的形態や解離特有の病態により治療が困難な症例も存在します。本研究では、既存技術の解剖学的限界を克服する新たなデバイス・手術手技の開発に加え、病態の進行や大動脈リモデリングに関する臨床研究を通じて、適切な治療介入の適応、時期および治療範囲の判断につながるエビデンスの構築を目指しています。
【3.ステントグラフト治療の超長期耐久性の検証】
当施設は国内でも早期からステントグラフト治療に取り組んできた施設の一つであり、10年以上の長期経過を評価できる豊富な臨床経験を有しています。この特徴を生かし、デバイスの長期耐久性、遠隔期合併症、追加治療の必要性などを検証し、長期的な安全性の評価と適切な術後管理・再介入戦略の確立を目指しています。
【4.大動脈疾患と外科的治療が循環動態に及ぼす影響の解明】
胸部・腹部大動脈は血液を末梢へ送る導管であると同時に、その弾性特性を通じて心臓後負荷を調節する重要な役割を担っています。本研究では、大動脈瘤や大動脈解離による血管特性の変化に加え、人工血管置換術やステントグラフト内挿術が大動脈の力学的特性、全身循環動態および心臓後負荷に及ぼす影響を検証し、循環生理学的観点から治療戦略の最適化を目指しています。
これらの研究では、大阪大学および関連施設の臨床データベース・研究ネットワーク、さらに全国規模の臨床データベースを活用し、多施設共同研究や大規模データ解析を推進しています。新規技術の開発から臨床的有効性、長期成績の検証までを一体的に進め、科学的根拠に基づく次世代の心臓血管外科治療の実現に貢献します。
