運動器バイオマテリアル学
- 骨・関節の3次元形態・動態解析による運動器疾患の病態解明
- 3次元手術シミュレーションと患者適合型手術ガイド・インプラントの開発
- 関節運動の評価に基づく人工関節の開発と機能改善
- 応力分布・骨密度解析による変形性関節症の発症予測と関節温存への応用
- AIによる関節軟骨の画像化・3次元画像生成と診断支援
骨・関節の形状、性状、動態を解き明かし、一人ひとりに適した治療を実現する
運動器バイオマテリアル学共同研究講座は、医学と工学を融合し、骨・関節の形態や運動を解析する技術を、新たな診断法や手術支援システム、インプラントの開発へとつなげています。骨折後の変形や変形性関節症による痛み、運動制限は、日常生活の自立を妨げる要因となります。私たちは、関節機能の回復と温存を通じて患者さんの生活の質を高め、健康寿命の延伸に貢献することを目指しています。
研究の基盤となるのは、単純X線画像やCT画像を用いた骨・関節の三次元形態・動態解析です。骨の形だけでなく、関節が実際にどのように動くかを定量的に捉え、疾患や外傷によって機能が損なわれる仕組みを調べています。こうした解析を、個々の関節運動に適した人工関節の開発や術後機能の評価に役立てています。また、骨折後の骨変形が隣接関節に与える影響を、応力分布やCTによる骨密度の変化から評価し、変形性関節症の発症を予測する診断法と、関節温存に向けた治療への応用を探っています。
治療技術の開発では、CTから再構成した三次元骨モデルを用いて変形を評価し、コンピューター上で骨切りや矯正を計画します。この計画を手術で再現するため、患者さんの骨形状に合わせた手術ガイドや骨接合プレートを開発してきました。ガイドで骨切り位置やスクリュー孔を定め、計画した位置で骨を固定することにより、複雑な変形に対する正確な矯正を支援します。三次元解析から手術計画、患者適合型の手術部材へとつなぐことで、解剖学的な形態と関節運動の回復を目指しています。
さらに、蓄積した骨・関節疾患の画像データとAIを組み合わせ、新たな画像生成・診断支援技術の研究を進めています。単純X線では直接描出できない関節軟骨を画像化するAIや、2次元画像から3次元画像を生成するAIを開発し、従来の画像だけでは捉えにくい情報を診療に活用することを目指します。これらは研究開発段階の取り組みであり、診断・解析の効率化や治療計画への応用が期待されます。
臨床で生じる課題を出発点に、整形外科学、画像解析、バイオメカニクスの知見を結び付け、共同研究企業との連携によって研究成果の臨床導入を進めます。一人ひとりの骨・関節に適した治療を支える技術を育て、運動器疾患の治療成績向上に取り組んでいます。

