2006年

 

平野 俊夫 ≪免疫発生学≫ 「Toll様受容体による亜鉛恒常性の制御は樹状細胞の機能に影響を及ぼす」


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2006年9月 発表
掲載誌 Nature Immunol. 7: 971 – 977 (2006)

Toll様受容体による亜鉛恒常性の制御は樹状細胞の機能に影響を及ぼす

要旨:亜鉛は多くの酵素や転写因子に必須であり、亜鉛欠乏症は免疫系に障害を及ぼすが、その機序は分かっていなかった。我々は、Toll様受容体4を活性化するLPSの刺激が、樹状細胞の亜鉛トランスポーターの発現を変化させ、それによって細胞内の遊離亜鉛濃度が減少することを見いだした。亜鉛キレート剤がLPSと同様の効果を示す一方で、亜鉛の添加もしくは亜鉛トランスポーターZip6の強制発現によって樹状細胞のMHCクラスIIと副刺激分子のLPSによる発現増強が抑制された。これらの結果は、Toll様受容体シグナル伝達と亜鉛恒常性の繋がりを示すものであり、また亜鉛が樹状細胞にてシグナル分子として機能している可能性が明らかとなった。

URL http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molonc/www/