中岡 良和 ≪循環器内科学≫ 「Gabファミリー蛋白質はニューレギュリン-1/ErbBシグナルを介した生後の心機能維持に必須である」
2007年7月2日 発表
掲載誌 Journal of Clinical Investigation; 117, 1771-1781, 2007
Gabファミリー蛋白質はニューレギュリン-1/ErbBシグナルを介した生後の心機能維持に必須である
要旨:成体でのGabファミリー蛋白質の機能を明らかにする目的で心筋特異的Gab1/Gab2二重欠損 (DKO)マウスを作成した。DKOマウスは心不全を自然発症するだけでなく、「心内膜弾性線維症」に類似した病理像を呈した。心筋でのGab1/2の欠 損によって、①Neuregulin-1/ErbBシグナルによるERK1/2とAKTの活性化が障害されており、②心筋でのNeuregulin-1刺 激依存性の内皮保護因子Angiopoietin-1の発現応答も障害され、心内膜線維弾性化と心臓組織内の異常に拡大した変性毛細血管像が観察された。 以上より心臓組織内での心筋-内皮間でNeuregulin-1とAngiopoietin-1による双方向性シグナルによる生後の心機能維持と心内膜線 維弾性化予防にGabファミリー蛋白質が必須であることが明らかとなった。