2007年

 

村上 正晃 ≪免疫発生学≫ 「CD4+ T細胞のホメオスタシス増殖はマウスのオーメン症候群モデルの発症原因に関与する」


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2007年5月1日 発表
掲載誌 J. Clin. Invest. 117: 1270-1281, 2007

CD4+ T細胞のホメオスタシス増殖はマウスのオーメン症候群モデルの発症原因に関与する

要旨:オーメン症候群の患者にはRAG遺伝子の機能を弱める変異があり、さまざまな重症複合型免疫不全を発症 する。このうち、どの症状がRAG遺伝子の変異による直接的なもので、どれが他の遺伝多型に依存しているのかは知られていなかった。これを理解するために はオーメン症候群の動物モデルが必要であった。我々は、RAG1遺伝子に変異を持ち、その活性が減弱しているC57BL/10突然変異マウスを発見した。 その個体の子孫では、メモリー表現型T細胞が増加し、肝臓と脾臓に腫大と好酸球浸潤が認められ、T細胞はオリゴクローナルであり、そしてIgEが高いと いったオーメン症候群の主な症状が見られた。CD4+ T細胞を除去することによって、高IgE症が改善した。従って、この「メモリー変異体(MM)」マウスはヒトのオーメン症候群の動物モデルであり、オーメ ン症候群の多くの症状がRAG遺伝子の変異によって引き起こされ、またいくつかの症状はCD4+ T細胞の異常が原因であることを明らかとなった。

URL http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/molonc/www/