寄附講座

視覚先端医学

最先端機器を用いた眼部画像解析と臨床研究
  • 新しい眼部画像解析と診断
  • 眼と全身疾患の関連研究
  • 眼疾患のバイオマーカー探索
  • 最先端眼科診療機器および臨床サンプルによる眼科および全身疾患の新規診断・治療法の探索

眼部画像解析機器・臨床サンプルを用い、眼疾患および全身疾患を評価する臨床研究

近年、前眼部画像解析機器は大きく進化し、ヒトの眼球を多角的に評価することが可能となってきました。例えば、前眼部においては前眼部光干渉断層計を用いることでヒトの角膜の断層画像を取得し、マップ上で解析することが出来ます。これらの角膜形状解析機器を用いることで角膜形状だけでなく、角膜の屈折力・角膜厚をマップ上の画像データとして取り扱うことが可能となりました。こういった機器を用いて、全身疾患において角膜に特徴的な変化が見られることを新たに報告しています。また網膜・ぶどう膜疾患においては、非侵襲に眼底・脈絡膜血管の評価や、解剖学的な構造変化を評価可能です。また眼部の炎症所見も眼内血管より漏出するタンパクなどを非侵襲的にレーザーフレアメーターにて評価し、疾患の活動性を知ることが可能で、得られた数値は治療への指標に使用できます。さらには眼内液などを使用し、全身疾患の予測も可能です。このように眼科だけで無く全身疾患への評価にも最先端眼科診療機器は使用することが出来ます。

(医療機器による診断)
画像診断をする代表的な疾患として、前眼部では円錐角膜、後眼部では原田病があります。円錐角膜は角膜の一部が突出・菲薄化する角膜変性疾患です。その発症メカニズムは明らかにされておらず、両眼で発症する場合や片眼のみ発症する場合、親族間で発症する場合など様々な発症パターンが存在します。現在の一般的な治療法はハードコンタクトレンズによる進行の抑制、角膜移植、クロスリンキング法があげられますが、いずれの治療においても早期発見が重要となってきます。近年においては前眼部画像解析機器の発達により、従来の検査だけでは判別が難しい、早期の円錐角膜の発見が容易になってきました。現在、最先端の前眼部画像解析機器による円錐角膜のリスクファクターを解明することが期待されています。原田病は脈絡膜を病変の首座とした免疫疾患であり、脈膜膜の厚みや眼内液(前房水)のフレアが病態の活動性に強く関与します。現在までに脈絡膜を非侵襲に評価する機器がありませんでしたが、近年開発されたspectral domain光干渉断層撮影機器にて評価が可能となっております。また前房水のフレア値もフレアメーターにて評価出来、脈絡膜厚と前房内フレアにて病態を評価出来、疾患の治療に応用が可能です。

(眼内液による解析)
本臨床研究では、円錐角膜だけではなく、発症メカニズムが不明な疾患に対して最先端の診断方法を探索しております。その中でも涙液・眼内液、組織を使用した少量サンプルを用いて、感染症や腫瘍、さらには炎症性疾患を診断します。感染症に関してはヒトヘルペスウィルス、アメーバなどの原虫類のDNAを一度にmultiplex PCRにて診断する事が可能であり、腫瘍・眼炎症疾患に関しては眼内液に含まれる細胞をフローサイトメトリー検査などの解析を用いることで診断が可能となっています。特に悪性リンパ腫やサルコイドーシスの診断に診断には特異度が高くなっています。