消化器内科学
- 日常診療からUnmet needsを掘り起こし、世界に新たなエビデンスを発信
- 消化器疾患の根治を目指した革新的治療法・治療薬の創出
- アカデミア発イノベーションを臨床へ迅速に実装
- 消化器疾患Human Biologyを解明する研究拠点の構築
- 基礎・臨床・多施設・国際連携を融合した次世代消化器病学の創成

「臨床に根ざした基礎研究」「患者に還元する臨床研究」
「革新的な橋渡し研究」の三位一体による社会実装志向の研究体制
日常診療から生じる臨床的課題を起点として、基礎研究、トランスレーショナル研究、臨床研究を有機的に統合し、消化器疾患の病態解明と新規診断・治療法の創出を目指した研究を推進しています。肝疾患、胆膵疾患、消化管癌、炎症性腸疾患を対象に、分子病態の解明から臨床応用まで一貫した研究体制を構築しています。また、大阪大学および関連医療機関と連携した多施設共同研究体制のもと、肝疾患(Osaka Liver Forum:OLF)、胆膵疾患(Osaka Pancreas Forum:OPF)、消化管疾患(Osaka Gut Forum:OGF)を基盤として、国内外の研究機関との国際共同研究も含めた形で、臨床課題の検証と実臨床に還元可能なエビデンス創出を行っています。
肝胆膵疾患領域では、肝臓・胆道・膵臓に共通する病態進展の分子基盤を明らかにする基礎研究およびトランスレーショナル研究を中核としています。肝疾患では、肝細胞死を起点とした炎症、線維化、前癌病変、発癌に至る病態連鎖を主軸に、肝星細胞、類洞内皮細胞、免疫細胞を含む微小環境との相互作用、転写制御機構や代謝異常が病態形成に果たす役割を解析しています。MASLDやアルコール性肝障害に加え、B型肝炎ウイルス(HBV)の複製・持続感染機構や発癌に至る分子基盤についても基礎的解析を行い、慢性肝疾患に共通する病態理解と治療標的探索を進めています。
特に肝細胞癌に対する免疫療法に関しては、重要な研究テーマとして、腫瘍細胞、免疫細胞、間質細胞が形成する癌微小環境の包括的解析に取り組んでいます。臨床検体および動物モデルを用いたマルチオミクス解析により、免疫療法の治療効果や抵抗性を規定する分子機構を解明し、治療効果予測や抵抗性克服につながるバイオマーカーの探索を進めています。
膵臓および胆道においても、炎症や線維化を背景とした前癌病変から癌へと至る病態進展について、動物モデルや臨床検体を用いた基礎研究を行っています。肝・胆・膵すべての臓器において、炎症、線維化、前癌病変、癌へと至る連続的病態を各段階で捉え、早期に制御する「病態インターセプション」の概念を共通の研究思想として位置づけています。
これらの基礎・病態研究で得られた知見は、肝疾患ではOLF、胆膵疾患ではOPFを基盤とした多施設共同臨床研究へと展開されています。OLFではリアルワールドデータや臨床試料を用いて、慢性肝疾患や肝癌における疾患リスク評価や治療効果予測を行っています。OPFではEUS・ERCPを核とした内視鏡診療を軸に、胆膵癌や前癌病変を対象とした診断・治療戦略の最適化に取り組んでいます。
消化管疾患領域では、消化管癌および炎症性腸疾患を対象に、OGFを中心とした多施設共同研究を推進しています。消化管癌では内視鏡診断・治療を軸に、発生・進展機序の解明、新規治療標的やバイオマーカーの探索、低侵襲治療法の開発に取り組んでいます。炎症性腸疾患では、腸内細菌叢・脂質・糖鎖を中心としたオミックス解析による病態解明と、治療反応性や疾患活動性評価に資するバイオマーカー開発を進め、病態に基づくPrecision Medicineの確立を目指しています。

