内科学

呼吸器・免疫内科学

しっかりとした臨床と人材の育成、その基盤の上に、医学・医療を一歩先へ進める研究
  • 第一に、臨床の現場を大切にすること、しっかりとした体制・医療の基盤を築いていくこと
  • そしてその中で優秀な若い人材を集め育成していくこと
  • その基盤の上に、以下の二つをその先にある目標・旗として掲げて行く
  • 1. 免疫・呼吸器難病治療に繋がる先駆的研究
  • 2. 阪大が世界に誇る最先端のシーズを結集した形でのがん免疫・肺がん先端医療
教授 熊ノ郷淳
内科学講座 呼吸器・免疫内科学
人の輪をどんどん広げていけるよう、そして次の時代を担う若い人たちが元気に育っていけるよう、医学・医療を一歩でも先に進ませるよう全力投球して参りたいと思います。

免疫・呼吸器難病治療に繋がる先駆的研究およびがん免疫・肺がん先端医療とその研究

感染病態グループ

  • 免疫セマフォリン分子群などのガイダンス因子による免疫応答制御機構の研究
  • 自己免疫疾患の病態形成における免疫セマフォリン分子群の役割と治療応用

セマフォリンは、従来発生段階の神経ネットワーク形成に関わる神経ガイダンス因子とされてきた分子群です。私たちの研究グループでは、2000 年に世界で初めて、免疫系で必須のセマフォリンSema4D の存在を明らかにしたのをはじめ、その後も次々とアレルギーや自己免疫疾患に関わるセマフォリンを発見しました。現在免疫系で機能するセマフォリンは「免疫セマフォリン」の名称で呼ばれ、「日本発の免疫調節分子の新しいパラダイム」として高く評価されています。多発性硬化症、アトピー性皮膚炎などの免疫疾患はもとより、骨粗鬆症、神経疾患、心臓の突然死の原因など、セマフォリンが「病気の鍵分子」であることが国内外の研究グループから相次いで報告され、現在セマフォリン分子群は疾患治療の新たな創薬ターゲットとしても注目を集めています。私たちの研究グループでは、免疫細胞やがん細胞の「動き」を標的とした新しい免疫難病、アレルギー、がん転移制御のための治療法・薬剤開発を行っています。

【最近の論文】Nat Commun. 2016, Sci Rep. 2016, J Immunol. 2015, Arthritis Rheumatol. 2015

免疫・アレルギー内科グループ

  • ヒト型抗IL-6 受容体抗体の難治性疾患に対する有効性の検証

岸本忠三前教授のIL-6 の発見、シグナル伝達に関わる分子の解明、様々な疾患発症との関連性等の基礎及び臨床研究を基盤として、ヒト型抗IL-6 受容体抗体が開発されました。大阪大学で始められたこの抗体の臨床治験が、わが国のみならず世界に拡がり、キャッスルマン病、関節リウマチ、若年性特発性関節炎に著効することが明らかとなっております。しかしながら、未だ有効な治療法がなく、抗IL-6 受容体抗体が有効と推測される難治性の免疫疾患に対しては、臨床試験の予定はなく、当科にて有効性を検証していく予定です。

【最近の論文】PLoS One. 2016

呼吸器内科グループ

  • 間質性肺炎・慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発生メカニズムの解明と肺がんの治療耐性メカニズムの研究

マウスモデルや肺癌患者検体を用いて、炎症性肺疾患である肺線維症の発症に関わる膜タンパク質テトラスパニンの役割や、COPD の病態に関わるアディポネクチンの役割について研究しています。さらに、肺線維症・COPD の診断・分類に有用となる新たなバイオマーカーの探索を行っています。肺がんに関しては、多剤耐性小細胞肺癌の分子標的治療の開発や2016 年1月より保険診療が可能となった肺癌の免疫療法(抗PD-1 抗体)に対する治療の抵抗性因子・感受性因子の解析を行っています。

【最近の論文】FEBS Lett. 2016, Am J Respir Cell Mol Biol. 2015, Lung Cancer. 2015