情報統合医学

神経内科学

神経筋疾患の新たな治療を目指した基礎・臨床の融合研究
  • パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など神経変性疾患の発症機序の解明と新規治療法の開発
  • 脳虚血病態の解明および治療への応用と脳卒中リスクを規定する因子に関する臨床研究
  • 多発性硬化症をはじめとする神経免疫疾患の発症・防御機構に関する基礎・臨床研究
  • 生理学的・機能画像的手法を用いた運動制御機構の解明と神経疾患の病態解析、新たな治療法の開発
  • 筋強直性ジストロフィー症、リピート病の発症機序の解明と新規治療法の開発
教授 望月秀樹
情報統合医学講座 神経内科学
当研究室は、1991年に独立して以来、初代柳原武彦教授、第二代佐古田三郎教授、現在の望月秀樹教授のもと、脳血管障害から神経難病まで急性・慢性神経筋疾患を幅広く診療できる神経内科医を輩出するとともに、最先端の治療を目指した基礎・臨床の融合的研究を展開しています。

診断と治療への応用を可能とする神経変性疾患、脳血管障害、筋疾患の基礎・臨床研究

パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症は、高齢化社会の到来に伴い患者数が増加している神経変性疾患ですが、未だ根本的な原因や治療法の開発がなされていません。私たちは主にパーキンソン病の神経細胞で蓄積するα-シヌクレインに着目し、その発現や凝集に関わる要因を同定して治療への応用を進めるとともに、患者さんサンプルを用いた新たな診断法の開発を行っています。

パーキンソン病の発症機序に基づく新たな治療の可能性

脳血管障害については、脳卒中センターの主要診療科として急性期患者の血栓溶解療法や血管内治療を積極的に行うとともに、脳虚血病態を制御する内在性機構の基礎的解析、発症リスクを規定するサロゲートマーカーや合併症の解析を行っています。

多発性硬化症は、脳や脊髄で炎症を繰り返す疾患であり、再発予防が神経の機能を保つ上で重要です。私たちは、多発性硬化症の病態形成におけるセマフォリン4Aなど免疫制御分子の役割を患者さんサンプルを用いて解析するとともに、近年注目されている腸内細菌叢の役割につき研究しています。

多くの神経疾患では運動機能の障害が生じるため、運動制御の生理学的基盤を理解してその疾患における異常を理解することは治療を考える上で重要です。私たちは、機能的MRIや近赤外分光法といった手法を用いて患者さんの運動機能の解析を行い、リハビリテーションをはじめ新たな治療介入手法の向上を目指しています。

筋強直性ジストロフィー症その他の遺伝子塩基配列リピート病は、塩基繰り返し配列の異常伸長により起こる遺伝性疾患ですが、いずれも根本的治療法が見出されていません。これらの疾患に対し、核酸医薬の手法を用いてリピートの伸長を制御する新たな治療法の開発を進めています。