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ひとこと日誌Message


2004年度〜2011年度は、京都大学時代の加藤研究室の【ひとこと日誌】です。
2012年度〜は、大阪大学の加藤研究室からの【ひとこと日誌】を綴っていきます。

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2008年 3月 6日 雪中梅のころ

お陰さまで辛くも修士論文を出し終えた次第です。
怒涛のような一月二月が去り早や梅が咲きほころぶ三月となりましたが
未だ雪の舞い散る日もあってまさに三寒四温といった此の頃の京都です。

折角ですから修士時代の感想のようなものを。
この分野に身を置いていて、時代の要請のように感じるのは
生命科学をはじめサイエンスの有り様を社会的・制度的な面から
新たにデザインする仕事が現代の急務なのだ、ということ。
既に百家争鳴なところでは、科学・技術研究振興のための資源(リソース)を
どこから出してどのように配分(シェア)すべきか、という一面。
他方では、科学・技術の進展による恩恵をどのように配分すべきか。
さらには、リスクはどう配分するか、という一面。
ELSIと言われる倫理的問題や法的・社会的問題も
もし仮に理想的な話し合いがなされたならば解決解消するようなものではない。
然るべき各種役割やポジションを整備し、責任や義務や役目を配分して
手続き体制を整えてゆくことでしか解決されない。いや、解決というより
サイエンスという営みの「持続可能な発展」が望めない。
生命科学の研究者たちは日々、生態系からさまざまな知識や便益を得ている。
その利用を持続可能にするには、環境問題と同様に
有効な制度や、アクセスと利用について決定するメカニズムを
デザインすることが現実的なのだろうな、と考えるようになりました。

あと一つ、広く市民に科学を伝え、関与を促す活動について思うこと。
ネガティブな方向から見据えることかもしれませんが
やはり我々世代から未来世代については
生命科学関連の教育を受け知識をもっていなければ
不自由や不利益をこうむるリスクが大きそうなことを無視できない。
生命科学の発展は、誰もが通る生病老死のすべてに変化を与える。
変化に対応し、私たちの自由を持続させるためにも、
市民は「受益者」としてのみでなく「行為者」として関わって欲しい。
それを促すことは、やや誇張して言えば、『人間の安全保障』にも関るくらいのことのはず。
今後しばらくは外から、そんなことを考えてみたいと思っています。

(新美耕平)



2008年 1月 21日 大寒の朝

今朝は、家を出た途端に銀世界でした。

私が住む奈良北部や京都市内では、
雪がチラチラ降ることがあっても積もることは年に数回。

雪国での生活経験がないから言えるのかもしれませんが、
家の前に積もった雪を見ると、いつも心が弾んでしまいます。

この冬初めて雪が積もった今日は、大寒。

暦には自然の特徴が的確に反映されているようです。

改めて実感しました。


hiei

(写真は、私のデスク横のベランダから見た今朝の比叡山です。
京都市内でも雪が積もっていると期待していたのですが山にしか見あたらず。)

(川上雅弘)




2008年 1月 7日 謹賀新年

あけましておめでとうございます。

今日は朝から皆で挨拶をして加藤研の2008年が始まりました。

加藤研はもう5年目です。2年目から入った僕も気づけば4年目です。

ところで、今年は干支が子に戻ってきました。初心忘るべからずということでしょう。

加藤研生活3年間で得たものを握りしめ、今年一年初心を忘れず頑張ろうと思います。

M2のみんなも修論頑張れ!!

(子よりも3年後の卯の方が楽しみです)

(加納圭)


2007年 10月 5日

もう今年に入って早くも9ヶ月が経ち、1年のうち3/4が経過しました。
あと3ヶ月もすれば、新しい年になります。

「少年老いやすく学成り難し」

自分が向き合うべきものと真剣に向き合い、1日を、さらには一瞬を、真剣に生きなければ、何も成らぬままにただ老いてしまうことでしょう。

何事にも必死さを持ち、一日一日を真剣に、一所懸命に生きなければならない、と思う今日この頃です。



(元越勇人)


2007年 9月10日 小さな写真展を終えて

8月24日から9月2日まで京都市の法然院にて電子顕微鏡の写真展
『小さな写真展』−その形を見るII−を開催しました。
期間中は1428名の方々がご来場くださり、無事終了することができました。
10日間、法然院という自然豊かな素晴らしいお寺で過ごさせて頂きましたが、
背筋が伸びるような独特の空気の中、一人一人それぞれ来られる目的も感想も違って
帰って行かれるのをお見送りしながら、何ともいえない不思議な気持ちになりまし た。
不思議な空間が出来上がったようにも思います。同時に、人の心の温かさに触れた
ようにも思います。
ご来場下さいました皆様、またご協力下さいました皆様、本当に有難うございまし た!



honen-in



(森田華子)






2007年 8月29日 皆既月食


昨日は皆既月食でした。
京都はあいにくの曇り空で、ほとんど見ることができませんでした。
6年ぶりの全国で見られる皆既月食だったそうですが、
確かに6年前、祇園祭の夜にあのぼんやりとほの暗く赤い月を見上げたのを思い出しました。
次は3年後、どこでどんな風に皆既月食を見るのだろうと、不思議な気持ちになりました。

(室井かおり)





2007年 8月24日 五山の送り火

はてさて、8月も終わりが近づいて参りましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか。
今年の夏はうだるような暑さで、どこぞでは40度を超えたと聞きました。

さて。京都の風物詩「五山の送り火」を研究室メンバーで観ました。
「妙」「法」「舟形」「左大文字」と見ることができました。
私は久しぶりに観たのですが、風情があっていいなぁと感じました。

私はというと。
お盆以外は夏期講習会で時間を取られてしまっています。
生徒も様々な目的を持って勉強しにきているので、
私もそれに負けずに自分の研究をしっかりと進めたいな、と日々強く感じながら過ごしています。

最後に宣伝を。
現在我々の研究室では「小さな写真展ーその形を見るUー」を開催しております。是非お越しください。

(松田健太郎)






2007年 7月31日 人の中で研究するときの心構え

この分野に進学して以来、何をよしとするか、どういう状態が理想だと思うのかといった自分自身の立場をきびしく問われるようになったと思います。例えば、「知っている」ほうが「知らない」よりも望ましい状態なのか。どのような知識について、どういう場面でそれが成り立つか。
生物学の学生だったときと比べると、自分自身の人格が俎上に乗っている、というと言い過ぎですが、日常生活で不意になにか突きつけられるような緊張感が身辺に漂うようになった気がします。もちろん生物学の学生としてももっと緊張感をもつべきではありましたし、修士課程より博士課程がきびしくなるのは当然ではありますが。

今年度から加藤研にいらした日比野さんに教えていただき、いま「コミュニティのグループ・ダイナミックス」という本を読んでいます。
自然科学研究では、研究者が研究対象に与える影響を極力排除しようとします。これに対して、研究者が人々の集団の中である発見をするときには、研究対象と研究者の間の相互作用が避けられず、両者の間に一線を引くことができないと考えることができます。この本では、そのような立場に立つ学問分野を「人間科学」と呼んでいます。さらに、この本の題名になっているグループ・ダイナミックスという研究分野では、ある人々の集団に研究者が入りこんで、話すことや共同作業を通じて研究を進めることを「協同的実践」と呼ぶそうです。
このような記述の後、以下のくだりが続きます。「・・・」は中略部分です。

協同的実践は、・・・いかに価値中立的であろうとしても、・・・必ず何らかの価値や目的を前提にしている。
ということは、人間科学の知識は、その知識を生み出した協同的実践で前提とされた価値や目的と分かちがたく結びついているということだ。・・・それだけに、人間科学の知識をつくり出す研究者も、人間科学の知識を使おうとする人々も、自らの目的や価値観を常に問い続ける必要がある。・・・いったん生成された知識が・・・価値中立的な妥当性を有する自然科学とは対照的である。
「コミュニティのグループ・ダイナミックス」 杉万俊夫編著、京都大学学術出版会 p.35

「価値中立的な妥当性を有する自然科学」というものを厳密に考えてみるのも面白いですが、ともあれ、自然科学分野から引越してきた私にとって、今さらではありますが、新しい心構えが必要であることがすっきりとわかった気がしました。
「自分のもつ目的と価値観をつねに問い続ける」、改めて肝に銘じました。

(伊東真知子)





2007年 7月4日 「続・合同班会議」



 6月25日〜27日にかけて、特定領域研究「ゲノム」4領域(以後、ゲノム特定)の合同班会議に参加しました。ゲノム特定 (http://genome-sci.jp/) はゲノム研究に主軸をおく、文部科学省科学研究費の研究プロジェクトです。班会議では170名を超える班員による研究成果の発表があり、私も生命文化学(加藤研)の実践・研究の1つ「ゲノムひろば (http://hiroba.genome.ad.jp/)」について、ポスターセッションで発表を行いました。
私は、昨年もこの班会議に参加し、「ひとこと日誌」で感想を書きました(「2006年度はこちら」リンク参照)。今回は、今年度新たに感じたことを紹介したいと思います。

 現在のゲノム特定には「1.網羅的な研究」「2.網羅的な研究から得られた1つの因子を解析する研究」「3.網羅的な研究から得られた多数の因子の働きを統合して理解する研究」の3つが混在しています。「網羅的な研究」とは、ある生命現象に関わる因子(主に遺伝子)をすべて見つけ出すような研究です。これら3つの研究すべてが生命科学全体の発展には重要です。
しかし、ゲノム特定にとって最も重要視されるべき研究は「3.統合して理解する研究」と、この研究の基盤となる「1.網羅的な研究」だと感じました。なぜなら、「統合して理解する研究」は開拓するのが困難な研究であり、この分野を進展させる環境がゲノム特定には備わっているからです。その理由は2つあります。
1つは、ゲノム特定には、「網羅的な研究」を支援する研究グループ(基盤ゲノム)が存在することです。「網羅的な研究」は個々の研究者が単独で推し進めるには困難な研究です。そこで、「基盤ゲノム」が他のゲノム研究と連携または支援することによって、個々の研究をバックアップしています。それによって「網羅的な研究」 と、その研究成果を活かした「統合して理解する研究」の推進が可能となっています。
もう1つの理由は、ゲノム特定には様々な分野の研究者が集まっていることです。「統合して理解する研究」の開拓には、既存の研究手法だけでなく、新規の解析技術・視点が必要です。このような問題には、異分野の研究者同士の連携が効果的です。「ゲノム」という1つの研究テーマに多様な研究者が集まるゲノム特定には、連携が生まれ易い環境があります。

 ゲノム特定は1991年より続く5年単位のプロジェクト研究です。今年度は4代目ゲノム特定の3年目です。しかし2年後、同様の規模や形を持ったプロジェクト研究が実施されるかどうかはまだわかりません。
ゲノム特定の特徴は、このプロジェクト研究の環境だからこそ推進される「網羅的な研究」と「統合して理解する研究」があることです。また、ゲノム研究の進展に伴う社会的問題に取り組んでいることも特徴の1つです。今後も、この環境を実現することができるプロジェクト研究が継続されることを望みます。



(白井哲哉)







2007年 6月15日  お引越し

6月8日から13日でドタバタと研究室のお引越しをしました。
大騒動でした。
今度のお部屋は、見晴らしのいい農学・生命科学研究棟の6階です。
どこの窓から外を見ても山。京都は盆地なんだな、と実感します。
これから虫の多くなる季節ですが、地上から離れた6階では
快適に過ごせるのではないかと期待しています。



(森田華子)




2007年 5月21日


食べ過ぎたせいで、ど○兵衛にいい加減飽きました・・・何事も加減が大事ですね。



(標葉隆馬)






2007年 5月15日 日常風味


ゆるやかな緑の風に惑わされていたら、五月も半ば過ぎ。
言いかえれば、今年もそろそろ半分にさしかかろうという
ところ。焦燥感からそらした目にしみるのが、緑かぶった大
文字。いえ、色とりどりの若葉の山。五月の緑は、「緑」の
範疇には収まらず、一色一色を数え上げるだけで日が暮れ、
そして昇るのを待っても足りなそう。この街の四季を感じて
いたら、それだけで一生をかけても追いつかない。なんて暇
な危機感を感じながら過ごす京都の日々も、早三年目。日だ
まりのまどろみに似た五月に、木漏れ日のように差しこむ陰
は、実は、ご自分の世界を表現して飛び立っていらしたえみ
ちゃんのご不在だったりしちゃったり。

えみちゃん、たまにはかむばっくー☆

あ、でも。東京方面から生まれてくる新しい彼女の世界が、
やがて京都を覆い尽くす日も遠からず?それなら、会社設立
から一年を迎えようとしていらっしゃる牧菜さんのご活躍に
も目を見張るものがありすぎて。あ、金井さん、お引っ越し
の日にお手伝いにいらっしゃるなんてそんなそんな!!

と、まあ、相変わらずごった煮状態の頭の中。少しずつ整理
していかなければ、研究室のお引っ越しに間に合わないわね
え、と、思いながら五月の街を歩く。

そろそろ、かき氷が美味しい季節!


(東島仁)





2007年 5月11日



新学期になり、先日、講義の準備をお手伝いしました。
その中で、遺伝子診断について、アメリカの事例を見ました。
がんの発病の可能性が高いことがわかり、不安に思わなくていいように事前に切除手術を行った人。
糖尿病がわかり、生後すぐなのに食事制限をすることを決めた赤ちゃん一家。
若年性認知症で将来を覚悟してしまった青年。
これらの話は大変ショッキングでした。でもその後、先生が
「研究を進めていった結果、このような側面がでてくるのも事実ですが、
悲観的にならず、君たちが病気の原因を突き止め、治すこともできる」というようなことを
言われました。私にはただ悲しいと思うことしか出来なかったので、すごいなと思いました。
たとえば、医療がどんどん進歩していっているのも、当たり前のように感じていたけれど、
いろんな方面で多くの人が、地道に研究や活動をしてくれていた結果だったんだ、
と、ここで働くようになって思うようになりました。
私の仕事は全くの事務方ですが、加藤研究室のお役に立てるように頑張りたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします☆

(藤村佳子)




2007年 4月26日 「お誕生日会主催」

はじめまして。
新修士1回生の八幡彩子です。

本当はやりたいことがあってここに来たはずなのに
己の無知をよくよく知ってから
自分のやりたいことに自信を持てなくなりました。
まずは目の前のことに手を動かしながら考えて、
少しずつこの先の道を模索してゆければと思います。

ちなみに加藤ラボではイベント係に任命されました。
写真は4月にご生誕記念日を迎えられた3人の先輩方の
お誕生日ケーキです。(チョコが二重らせんみたい)
これからもみなさまのお誕生日を祝うべく
おいしいケーキ屋さんを探してがんばります!


birthday cake


(八幡彩子)



2007年 4月23日 「バランス」


新修士一回生の高橋貴哲です。
この間まで、実験室で菌と戯れていたのに、
今ではパソコンに向かって論文を読み漁る毎日。

もちろん自分の興味ある分野なので辛くとも楽しいのですが、
そこに閉じこもらずに、色々な文化に触れて幅広い見識を養うこともまた大事。
突然ガラッと変わった環境で、如何にそのバランスを上手く取るか、ということに苦労しています。

少年老いやすく学成りがたし、とは言いますが、
いつまでも新鮮な心で研究に打ち込みたいものです。

最後に、余談ながら私の名前はきてつと読みます。
それでは、皆さん宜しくお願いします。

 

(高橋貴哲)

 

2007年 4月11日 「自己紹介」

はじめまして。
研究員としてカトウひろばにやってきました、日比野愛子です。
専門はグループ・ダイナミクス(社会心理学)です。
テーマ志向でフラフラ歩いていくとどのような社会的生物が
出来上がるのか、自らの身をもって実験しているところです。

生命科学の敵か味方か。語りか騙りか。
プロの素人になるのか素人なプロになるのか。

良い意味での緊張感を保ちつつ、皆さんとコラボしていきたいと
思っています。どうぞよろしくお願いします。 


(日比野愛子)






International network



科学技術イノベーション政策における

雑誌「医療・生命と倫理・社会」
アイセムスSCG

(竹沢教授)



大阪大学大学院 医学系研究科・医学部






大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学

大阪大学大学院医学系研究科
医の倫理と公共政策学
加藤和人研究室
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘2−2
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FAX 06-6879-3681
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