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ひとこと日誌Message


2004年度〜2011年度は、京都大学時代の加藤研究室の【ひとこと日誌】です。
2012年度〜は、大阪大学の加藤研究室からの【ひとこと日誌】を綴っていきます。

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 2015年12月 「忘年会」

今年の忘年会は、2012年の研究室立ち上げの頃から3年半働いていただいた補佐員・越田さんの送別の会ともなりました。
ちょっと豪華なケーキや、加藤先生自ら企画のビンゴ大会などもあって楽しい時間でした。
皆さん、1年お疲れさま、そして来年もよい年となりますように。
越田さん、長い間ありがとうございました!
 



 2015年10月19日 「ドイツ・ボンより」 (吉澤 剛)

 ドイツのボンはライン川のほとりに佇む小さな街で、旧西ドイツの首都やベートーヴェンの生地として知られています。社会主義者で哲学者のモーゼス・ヘスが生誕した場所でもあり、ライン川の左岸沿いにその名を冠した短い通りと、その側にダビデの星と石碑がひっそりと置かれています。ヘスは「理論的なものこそがほんとうに実践的なものだ」という問題意識とともに行為の哲学を志向しました。こうした二律背反はドイツ哲学の脈流にもなっており、現代のドイツにおける倫理や政策を考えるうえでも意義深いものがあります。
福島の原発事故を受け、ドイツは「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」の報告によ
って脱原発政策へと転換しました。地方分権の長い伝統を持つドイツでも、政策議題の倫理
的な側面について国家的な意思表明が模索されることは、日本における倫理や政策のあり方
を振り返るよい機会となります。ここでは、どの分野の社会科学においても倫理という言葉
が日常的に見られ、確立された個人がおのおの倫理を持ち、ぶつけあっている印象がありま
す。対して日本では、研究では学派の細分化と、実務では状況倫理が広まり、倫理学に関す
る分野や文脈どうしの懸隔が一つの課題といえます。ドイツのように個人の倫理が国家の倫
理にまで昇華されることのおそれは、そのコントラストとして、日本のように個人の分人化
した倫理によって日和見な意思決定が専横するおそれを浮かび上がらせています。個人とし
て倫理を持つこと、それが国家や局所的なシステムに回収されないだけの多様性の強度を持
つこと、その挑戦は理論と実践との融和として未来に生きる私たちに突きつけられた大きな
題目ではないでしょうか。



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科学技術イノベーション政策における

雑誌「医療・生命と倫理・社会」
アイセムスSCG

(竹沢教授)



大阪大学大学院 医学系研究科・医学部






大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学

大阪大学大学院医学系研究科
医の倫理と公共政策学
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