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ひとこと日誌Message


2004年度〜2011年度は、京都大学時代の加藤研究室の【ひとこと日誌】です。
2012年度〜は、大阪大学の加藤研究室からの【ひとこと日誌】を綴っていきます。

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 第34回日本ロボット学会学術講演会(山形、2016年9月7〜9日)に参加してきました。(恋水諄源)2016.9.12掲載


縁あって、日本ロボット学会学術講演会の「ロボットの社会的価値を考える」というセッションで発表をしてきました。現在研究中の、介護ロボットのELSIについて、海外での文献上の議論を中心に報告しました。

セッションテーマは介護ロボットに限ったものではなく、人とロボットの相互作用(Human-Robot Interaction; HRI)、ロボットの倫理、社会におけるロボットの位置づけ、といった切り口から、介護ロボット、自動運転車、その他の実験的ロボットなど、様々なロボットについて議論が行われました。

このセッションは昨年も同じテーマで開かれていましたが、座長の先生いわく、昨年より聴衆は多かったということです。人と関わるロボットが次々に発売されている現状をうけて、ロボットと社会の関わり方への注目が集まりつつある、ということでしょうか。私の発表に対しても多数の質問をいただき、聞いていただいた方々の関心の高さを感じました。

日本ロボット学会に参加するのは初めてで、参加しているのは工学系の研究者ばかりかと思っていたのですが、人文学の研究者や、医師の参加もあり、意外と学際的な(少なくとも医学の学会よりは)雰囲気を感じました。さらに医療ロボットについての研究や、人間の動きを分析研究を取り上げたセッションも聞きながら、もっと工学系研究者と医療者のインタラクションが増えていってもいいのではないかな、と感じました。

しかしその一方で、他分野の人々と協働していくためには、専門外の人に訴えかけ、専門外のことを理解するための、分野横断リテラシーともいうべき知識・技術・作法が必要だな、ということも、改めて感じました。教養、とも言えるのかもしれませんが、そう言ってしまうと、私には何となく浅く聞こえてしまいます。もっとこう、サイエンス+アート、的な奥深い何かなのではないかと…。

何を言っているか分からなくなってきましたが、ともあれ、非常に勉強になった3日間でした。




 第33回渋沢・クローデル賞特別賞を受賞しました。(小門穂)2016.7.5掲載


このたび、拙著『フランスの生命倫理法 生殖医療の用いられ方』(2015年、ナカニシヤ出版)が、第33回渋沢・クローデル賞特別賞を受賞しました。
http://www.mfjtokyo.or.jp/mfjtokyo2/events/shibukuro.html

2016年6月24日(金)に、日仏会館(東京)にて授賞式が開催されました。
このような賞をいただくことになりたいへん光栄に思っております。
たくさんの方々に支えられて研究を続けてこられたことに心より感謝しております。

本書では、1970年代末の体外受精技術登場以降の生殖補助医療の発展と広がりに対してフランス社会がどのようなルールを作って対応してきたかを扱いました。
なかでも、生殖補助医療を受けられる人についての規定に着目し、誰が医療技術を介して親になることが認められているのか、生殖補助医療に関するルールはどのように作られ、なにを守ろうとしているのかを考えました。
フランスにおける生殖補助医療をとりまく制度や制度をめぐる議論から、生殖補助医療に対するフランスの対応はどのような理念に基づくものなのかということを明らかにすることを試みたものです。
お手にとっていただけますと幸いです。









 2016年5月19日「HTAi2016に参加して」(吉澤剛)2016.5.24掲載


ヘルステクノロジーアセスメント(HTA)の国際学会であるHealth Technology Assessment international (HTAi)の年次大会が「価値と根拠に沿ったヘルスケアの意思決定」というテーマのもと、2016年5月10日から14日まで東京で開催されました。HTAは「医療技術評価」という名称で知られ、2012年度に創設された中医協の費用対効果評価専門部会で制度化の議論が進められてきました。2016年度は診療報酬改定において試行的導入がなされるというタイミングで日本では初となる大会開催ということで、主催者の強い意気込みを感じます。
 大会最初の2日はワークショップが主体のプレ会合という位置づけで、HTAとは何かという入門的なものから多様な意思決定ツールの紹介など専門的な話題まで複数のセッションが並行して進められました。患者の視点や付加価値について各国の関係者が学びあうというセッションでは、カナダやイギリスのHTA機関の取り組みにおいてプロセスの随所に患者や市民が参画できる機会が設けられており、欧州や台湾の製薬協なども関心を持って患者との連携を模索しているという現状が共有されました。後半の3日間は基調講演のほか、パネルディスカッションや口頭発表が中心の本会議として、多角的な話題提供と議論が繰り広げられました。興味深かったのはHTAにおけるホライズン・スキャニングへの取り組みで、新しい医療技術についての将来的な論点の洗い出しを患者や医療従事者とともに行う活動がイギリスやカナダで進みつつあることです。また、患者の価値をめぐるセッションで印象に残ったのは、心臓発作で死線を彷徨った患者が適正な医療を受けて全快したことをきっかけに患者代表としてHTAに関わるようになったというくだりでした。この大会では全体的に患者団体や医療従事者の参加が少なかったのですが、このセッションは参加者が多彩で、これからのHTAに向けた重要な問題提起をしていることから、ぜひ日本の多くの関係者にメッセージが届くことが期待されます。
 日本版HTAは、医療技術の保険収載の判断材料としての費用対効果評価であり、医療費削減のための一つのツールという認識に傾きがちです。かつてテクノロジーアセスメントが「技術評価」という視点に押し込められていた時代からの教訓を踏まえるならば、より上流における俯瞰的・システム的分析と、患者や市民の有する公共的価値を交えた協働的な評価体制の構築がとりわけ重要になってくると見られます。それはHTAの制度化が始まったばかりの現在だからこそ取り組まなければならない活動ではないでしょうか。会場では日本の企業関係者や研究者の姿も散見されましたが、開催地としては参加者数も多様さも控えめで、各方面への意識啓発や人材育成が今後の課題として浮かび上がりました。







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科学技術イノベーション政策における

雑誌「医療・生命と倫理・社会」
アイセムスSCG

(竹沢教授)



大阪大学大学院 医学系研究科・医学部






大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学

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医の倫理と公共政策学
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