2012年

 
  • トップ
  • >
  • 研究活動
  • >
  • 主要研究成果
  • >
  • 2012年
  • >
  • 内藤 篤彦、小室 一成≪心血管再生医学寄附講座・循環器内科学≫ 「補体分子C1qはWntシグナル活性化を介して老化の表現型を誘導する」

内藤 篤彦、小室 一成≪心血管再生医学寄附講座・循環器内科学≫ 「補体分子C1qはWntシグナル活性化を介して老化の表現型を誘導する」

心血管再生医学・循環器内科学
クリックで拡大表示します

2012年06月08日 発表
掲載誌Cell, 149(6): 1298-1313 (2012)

補体分子C1qはWntシグナル活性化を介して老化の表現型を誘導する

血中に存在するWntシグナル活性化物質が加齢によって増加し、老化を誘導することが最近報告されていましたが、その分子の正体はこれまで明らかではありませんでした。私達は、加齢によって血中で増加する新しいWntシグナル活性化物質として補体分子C1qを同定しました。C1qはWnt受容体であるFrizzledに結合した後に、補体分子C1r, C1sの活性化およびC1sによるWnt共受容体LRP5/6切断を引き起こすことでWntシグナルを活性化していました。C1q欠損マウスでは全身でWnt標的遺伝子の発現低下が認められ、老化に伴う全身のWntシグナル活性化も認められませんでした。加齢に伴って骨格筋障害後の再生能が低下しますが、C1sに対する中和抗体を投与することで老齢マウスの加齢に伴う再生能低下が改善され、老齢C1q欠損マウスでは加齢に伴う再生能低下が軽度であることを見出しました。これらの実験結果はC1qがWntシグナル活性化を介して老化の表現型の一つである骨格筋障害後の再生能低下を引き起こすことを示しており、C1qによるWntシグナル活性化を標的とすることで加齢に伴う老化現象に対抗する薬剤や健康食品の開発につながる可能性があります。

URLhttp://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/cardiology/index.php

先進心血管再生医学

循環器内科学