武部 貴則 / Takanori Takebe, MD
シンシナティ小児病院 オルガノイドセンター・副センター長
東京医科歯科大学 統合研究機構・教授
横浜市立大学 コミュニケーション・デザイン・センター・教授　

未踏領域と考えられてきた臓器再生への挑戦が現実味を帯びつつある。近年我々は、ヒトiPS細胞を用いて立体的なヒト器官原基（オルガノイド）の人為創出を実現する画期的な細胞操作技術を確立した（Nature, 2013）。さらに、オルガノイド技術を核とする、ヒト生物学研究（Nature, 2017）、オルガノマシン研究（iScience, 2018）、移植医療研究（Cell Stem Cell, 2015）等を通じ、肝疾患を対象とした新規治療法開発を推進している。
　一方、独自に提唱してきた「広告医学」という独自概念を発展させ、ヘルスケア分野のコミュニケーション課題解決を目指すクリエイティブ研究の拠点、コミュニケーション・デザイン・センターを横浜市立大学内に設立した。医学者、教育学者、クリエイター等の異分野の専門家とともに、多様化した人々のライフ(Life:生命、生活、人生)を豊かにするコミュニケーションの仕掛けがデザインされた社会の実現を目指している。
　本講演では、われわれが確立しつつある「再生医学」と「広告医学」の両技術分野における最新の取り組みを紹介し、バランスの取れた未来医療についての将来展望を議論したい。