2011年

 

小玉 尚宏、竹原 徹郎≪消化器内科学≫ 「肝細胞p53はCTGF産生を誘導し肝線維化を促進させる」



環境・生体機能学
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2011年8月1日 発表
掲載誌Journal of Clinical Investigation; 121, 3343-56 (2011)

肝細胞p53はCTGF産生を誘導し肝線維化を促進させる

慢性肝炎/肝硬変は肝線維化を病態の中心とし肝不全・肝発癌に至る重篤な疾患であります。今回我々は癌抑制遺伝子として知られるp53が肝線維化の進展に重要な役割を果たす事を明らかにしました。p53を抑制する機能を持つMdm2を肝細胞特異的に欠損させたマウスはp53依存的に肝線維化を自然発症し、一方肝細胞特異的p53欠損マウスでは種々のモデルにより誘導される肝線維化が軽減しました。また我々はその原因として、肝細胞p53がmiRNAを介して肝線維化促進遺伝子であるCTGFの発現を誘導する事を同定し、この制御機構が慢性肝炎/肝硬変患者の肝線維化進展に関与している事を示しました。本研究から、p53-CTGF pathwayは慢性肝炎/肝硬変の肝線維化疾患進展に対する新規治療標的になることが考えられます。

URLhttp://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/gh/index.htm

消化器内科学