2011年

 

堀江 恭二、竹田 潤二≪環境・生体機能学≫ 「表現型の迅速なスクリーニングが可能なホモ変異体ES細胞バンクの作製」

環境・生体機能学
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2011年10月23日 発表
掲載誌Nature Methods. 8: 1071-1077 (2011)

表現型の迅速なスクリーニングが可能なホモ変異体ES細胞バンクの作製

マウスES細胞におけるゲノムワイドな変異導入法は、遺伝子機能解析を行う上で、有効な手法である。しかし、哺乳動物細胞のゲノムには、遺伝子が2コピーずつ存在するため、表現型を露呈させるには両方のコピーを破壊する必要があり、解析の迅速化の妨げとなっている。この問題を解決するために、我々は以前に、Bloom症候群原因遺伝子の発現を一過性に低下させて、ヘテロ変異体ES細胞からホモ変異体ES細胞を誘発する方法を報告した。しかし、誘発したホモ変異体をヘテロ変異体から単離できなかったため、ホモ変異体とヘテロ変異体が混在する状態で表現型解析を行う必要があり、適用できる表現型が限られていた。本論文では、ホモ変異体ES細胞を効率的に単離する方法と、表現型解析への有効性を報告する。まず、ホモ変異体をG418/puromycin耐性株として選択するための、新たな薬剤耐性遺伝子カセットを開発した。さらに、変異部位に連鎖したSNPを解析することで、ホモ変異体の選択効率を高めた。この手法に、ジーントラップベクターによるrandom mutagenesisを適用し、ホモ変異体ES細胞バンクを構築した。このバンクを利用して、多分化能、増殖性などに異常を示す様々な変異体を同定し、細胞レベルでの表現型解析を迅速に行えることを示した。

URLhttp://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/mr-envi/www/

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