皮膚・毛髪再生医学
毛包は生涯にわたり再生と退縮を繰り返す成体で唯一の組織
- 毛周期の制御機構を極める
- 毛周期の司令塔で有る毛乳頭細胞の機能解析が面白い
- 特定の可視光(LED)は育毛効果を示す
男性型脱毛症の分子メカニズム
男性型脱毛症は、遺伝的素因を有するヒトに特定のパターンをとって思春期以後に発症します。脱毛と呼ばれていますが、成長期が短縮し休止期に止まるために毛包のミニチュア化が生じます。 私たちは、毛乳頭細胞と角化細胞を用いたin vitro毛成長モデルを開発し、男性ホルモンの毛の発育に対する作用は毛乳頭細胞を介するパラクリンなメカニズムであり、思春期における髭の発育には髭毛乳頭細胞より分泌されるIGF-1(インスリン様成長因子-1)が、男性型脱毛症の発症には毛乳頭細胞より分泌されるTGF-β(形質転換増殖因子β)が関与することを明らかにしています。
男性型脱毛症の治療には、II型の5α-リダクターゼの阻害剤の内服が有効ですが、私たちは狭帯域のLEDが成長期誘導作用を示すことを見出し実用化されました。また、休止期に毛乳頭細胞はレプチンを産生し成長期を誘導することも明らかにし、そのフラグメントの臨床応用を目指しています。