児童青年期(精神病理)研究室

研究内容

①当研究室の概要

精神病理学とは、精神症状の理論的な分析や、精神現象の記述・分類・整理を行う学問です。
当研究室では、精神疾患の病態や治療、支援を精神病理学的に検討することで、医学・心理学領域にとどまらず、行政、福祉、司法、教育領域に還元することを目的とした活動を行なっています。

対象はトラウマ関連障害、解離性障害、摂食障害など心理要因が大きい疾患だけでなく、児童青年期精神医学、周産期メンタルヘルス、LGBTQ、グリーフケア、AYA世代のがん患者に付随するメンタルヘルスの問題、不登校やひきこもりなど社会要因が大きい臨床領域も対象に含みます。

近年、言葉としては広く知られつつある発達障害に対しての臨床・研究を開始しています。発達障害は、児童思春期のみならず、成人期においても社会適応に困難が生じる原因として、注目すべき概念ではありますが、特有の症状の存在や、定型発達との連続性、他精神疾患の症状との鑑別の困難さなどからまだまだ未解明な部分が多い病態です。その病態、支援に対しても、精神病理学的な観点をもちながら介入を行なっています。

②当研究室の主な研究活動

精神病理学、心理検査、精神療法からの観点に基づく事例研究
発達障害の聴覚過敏、選択的聴覚注意障害など、聴覚特性の検討
大阪府発達障がい診断等に係る医療機関ネットワーク事業
HIV陽性者の精神疾患医療体制と連携構築の研究
ひきこもりの疫学的検討

③研鑽の機会の提供

当研究室は伝統的に、「精神病理学」、「精神療法・精神分析」、「ロールシャッハテストを中心とする心理検査」、「児童青年期精神医学」、「総合病院精神医学」に携わる専門家を多数輩出しております。
関心のある専門職に対して、様々な研鑽の機会を大学内外で紹介可能です。

なお、これまでの当研究室の歴史は「精神医学の潮流ー大阪大学精神医学教室120年の歩みー」新興医学出版社 p540-544もご参照ください。