生物学的精神医学研究室

研究内容

生物学的精神医学研究グループ

厚生労働省の統計資料によると精神科患者数は平成8年には約187万人であったものが平成26年に約282万人の1.5倍に増加していますが、よりよい治療を行うための基盤となる精神科医療費は大きく変わらない状態が続いています。我々は徐々に縮小される医療の中で全力を尽くしていますが、このままでは今までと同じ水準の医療を行うことすら現実的に難しいといえます。それにもかかわらず医療の質の向上と効率化が必要であることはいうまでもなく、我々はこの一見矛盾した問題を解決することを期待されています。

そこで我々は、新たな治療法・診断法の開発及び質の高い医療の普及を行うことにより、この問題を解決することができるという考えにいたりました。新たな治療・診断法の開発を目指した研究は時間がかかりすぐに効果が表れるものではありませんが、現在の問題点を根本的に解決し、精神科医療に貢献するものであると信じています。

精神疾患の臨床研究

統合失調症をはじめ、自閉スペクトラム症、うつ病などの気分障害の中間表現型やゲノムなどの生体試料を用いた研究を行っており、このデータベース・リソースは、ヒト脳表現型コンソーシアムとして運営されています。中間表現型は、精神疾患の神経生物学的な特徴であり、脳神経画像、認知機能、神経生理機能などがあげられます。これらを用いて、精神疾患の新たな診断法の開発や、病態解明研究を行っています。疾患横断的な研究を、各種のモダリティで行っているため、研究内容は、以下のようなマトリックスにてまとめられます。現在、サンプル・データ集積中のテーマに関しては、希望者がいれば、すぐに開始できますので、いつでもお問い合わせください。

※その他の精神疾患や健常者など

いわゆる研究論文だけでなく、症例報告(N)も積極的に行っています。
COCOROという精神疾患のオールジャパンの共同研究体制を構築して、日本の精神疾患の多施設共同研究をけん引しており、これらのデータにアクセスして研究を行うこともできます。

精神疾患の基礎研究

臨床研究で得られたデータから基礎研究でメカニズムを解明する研究だけでなく、基礎研究者からの依頼を受けて、上記の臨床研究を行う場合もあり、大阪大学薬学部をはじめ、多数の研究機関との共同研究を行って、治療法開発研究を推進しています。

精神科治療ガイドラインの普及・教育・検証研究(EGUIDEプロジェクト)

世界で初めて、精神科医療のガイドラインの効果の検証研究を主に大学病院からなる26施設の共同研究にて行っています。その過程で、講習などを行う普及・教育活動を行っています。