研究内容

近年、不眠(眠れない)を訴える患者とともに、積極的な睡眠時間の不足(眠らない)の日本人が増え、医学のみならず社会学的にも睡眠の問題が取り挙げられる機会が非常に多くなっています。睡眠の問題はそれ自体が改善・治療の対象になるとともに、統合失調症、気分障害、認知症、発達障害など、様々な精神疾患あるいは身体疾患の病態と密接に関与しています。  

私たちはこのような幅広い領域に関連する睡眠の問題について診療・研究を進めています。診療においては、睡眠の特殊な病気であるレム睡眠行動異常症のような睡眠時随伴症、ナルコレプシーのような過眠症、レストレス・レッグズ症候群のような睡眠関連運動障害、睡眠時無呼吸症候群など、様々な睡眠関連疾患を診療する専門外来を行っています。また、このような専門外来の診療データを用いて、睡眠関連疾患の病態解明、診断技術の向上、治療アドヒアランス改善などの臨床研究に取り組んでいます。一方先述のように、睡眠に関わる問題は睡眠関連疾患だけではなく、睡眠時間や睡眠覚醒リズムなど生活習慣自体の問題も重要な健康管理上の課題となっています。このような睡眠社会学といわれる領域についても、大阪大学保健センターでの診療や健康診断データを用いて研究に取り組んでいます。

睡眠関連疾患を包括的に診療できる専門医は本邦ではまだまだ少なく、睡眠専門医療を担える人材育成も積極的に行っています。また、精神科の他グループの先生や、当研究室OB・OGの先生とも共同研究や診療協力を進めています。