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人工心臓、心臓移植を行わないips細胞による再生医療の治療法

教授
宮川 繁

現在、再生医療は心臓にどのように使われてるんでしょうか?

現在、心不全治療には様々なものがあります。症状の軽い方は、薬による心不全治療がありますが、重症の心不全の方になると人工心臓や心臓移植が行われます。しかし。人工心臓には感染や脳梗塞の問題がありますし、心臓移植においてはドナーの不足が問題です。現在の再生医療は、薬による治療をすべて行っても症状のある方や人工心臓や心臓移植の適応になる手前の状況にある方に行っています。薬の治療をしっかり行い、再生医療を行うことで心不全の悪化を抑制し、人工心臓や心移植を行わなくてもいいような状況の患者さんも多数おられます。

iPS細胞は何がすごいんでしょうか?

再生医療には、様々な細胞が使われてきました。例えば、現在、足の筋肉の元になる筋芽細胞や骨髄等にある幹細胞が臨床の現場で使われています。しかし、これらの細胞は細胞から分泌されるサイトカインと呼ばれる血管を作るたんぱく質による間接的な効果であることが示されています。一方で、iPS細胞は、病気のため機能が失われてしまった細胞を作ることができるため、これまでの細胞より有効性が高い可能性があることが知られています。

再生医療で心臓を作れるのでしょうか?

再生医療技術を用いて、心臓を作る取り組みが世界で行われています。主な取り組みとしては、動物の心臓から心筋細胞を取り出し、心臓の鋳型を作り、その鋳型にiPS細胞から作った心筋細胞をつけることにより、心臓の形をしたバイオ人工心臓を作成するような取り組みが行われています。

心臓移植はドナー不足で待機期間が長くなり、患者さんが大変だと聞きました。再生医療は将来心臓移植の代わりになりますでしょうか?

再生医療技術を用いたバイオ人工心臓ができれば、心臓移植の代わりになる可能性はあると思います。現在では、重症度において心臓移植の手前にある状態の患者さんに再生医療を行い、心不全の悪化を抑え、予防目的に使うことで、ドナー不足である心臓移植治療を補う役目があると思います。