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三善 英知≪分子生化学≫ 炎症性腸疾患の患者で増加するT細胞のコアフコースという糖鎖は、T細胞受容体のシグナルを制御し、疾患の発症に関与する

免疫制御学-1
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2016年3月7日 発表
掲載誌Gastroenterology(2016) doi:10.1053/j.gastro.2016.03.002

炎症性腸疾患(IBD)は、何らかの免疫異常によって発症する難治性の疾患で、近年患者数は増加傾向にあります。IBD患者の腸管炎症部において、非炎症部に比べて浸潤T細胞にコアフコースという糖鎖が増加していることを見出しました。コアフコースはがんや炎症に関連性が高い糖鎖修飾で、FUT8という糖転移酵素によって生合成されます。IBD患者の炎症部で見られたT細胞のコアフコース増加が疾患発症の原因か結果を知るため、FUT8ノックアウトマウスを用いて検討しました。コアフコースの存在しないFUT8ノックアウトマウスでは実験的腸炎が著しく抑制されました。その原因としてT細胞受容体のコアフコース欠損により、受容体がラフトに移動できず、T細胞のシグナル伝達が十分に起こらないことが電子顕微鏡などの実験でわかりました。コアフコースは、IBD治療の新しい糖鎖治療の標的として期待されます。

 

URLhttp://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~tousa/index.html