米田 悦啓 ≪生化学≫ 「マイクロRNA前駆体核外輸送複合体のX線結晶構造解析」
2009年11月27日 発表
掲載誌 Science, 326, 1275-1279 (2009)
マイクロRNA前駆体核外輸送複合体のX線結晶構造解析
核で転写されたマイクロRNA前駆体の細胞質への輸送は、マイクロRNAの生合成において必須のステップであり、エキスポーティン5(exportin-5)と呼ばれる輸送受容体により担われている。本論文では、エキスポーティン5-ランGTP-マイクロRNA前駆体からなる核外輸送複合体の結晶構造を2.9オングストロームの解像度で明らかにした。エキスポーティン5-ランGTPは、野球のミット様の構造をしており、マイクロRNA前駆体の2本鎖領域のリン酸バックボーンを緩やかに結合するとともに、ミットの底部に当たる部位に存在するトンネル状の構造によりマイクロRNA前駆体に特有の3’末端突出構造を認識していた(図)。エキスポーティン 5-ランGTP複合体は、塩基配列に関わりなくマイクロRNA前駆体を認識できる。また、特徴的な末端構造を識別することにより、様々なマイクロRNA前駆体を積み荷として認識するとともに、ヌクレアーゼによる分解から保護していると考えられる。