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最先端がん治療・重粒子線治療に関する 医療技術・医療機器開発を推進! ~より副作用の少ないがん治療の実現を目指して 共同研究契約を締結~

国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学講座(所在地:大阪府吹田市、小川 和彦教授、以下「大阪大学大学院医学系研究科」)、大阪重粒子線センターを運営する公益財団法人大阪国際がん治療財団(所在地:大阪府大阪市、理事長 髙杉 豊)並びに大阪重粒子線センターの施設を管理する大阪重粒子線施設管理株式会社(所在地:大阪府大阪市、社長 小川 宏隆、以下「大阪重粒子線センター」)、株式会社日立製作所(所在地:東京都千代田区、執行役社長兼COO小島 啓二、以下「日立製作所」)の4者間において、重粒子線治療の効果をさらに高め、より副作用の少ないがん治療を実現するための研究開発を推進し、産学連携を図るため、共同研究契約を締結しましたのでお知らせいたします。

研究の背景と狙い

重粒子線治療はがん治療の1つである放射線治療のうち炭素粒子を用いた放射線治療です。重粒子線治療は物理的な性質からがんへ放射線を集中させられるため、周りの正常な細胞を傷つけにくいことに加え、従来の放射線治療と比べてがん細胞を殺傷する能力が高いという、がん治療に適した性質を有しています。さらに治療期間が従来の放射線治療と比べて短いことから高い生活の質(QOLQuality of Life)を実現できるがん治療法と言われています。この重粒子線治療は、1970年代に米国で最初に臨床試験が行われ、X線治療に比べると複雑で歴史も浅いため、今後更なる発展が見込める技術です。

本共同研究は大阪重粒子線センターの重粒子線加速器を利用して更なる高精度・低侵襲化などを実現した新医療技術の開発を大阪大学大学院医学系研究科・大阪重粒子線センターおよび日立製作所の4者による産学連携の実現によって達成しようとするものであり、4者による産学連携の実現によって、医療・社会イノベーションの創出を推進し、これまでにないより優れたがん治療が可能となる医療技術や医療機器の開発と提供、新しい学術的知見の国内外への発信、本共同研究活動を通じて世界で活躍できる多様な人材育成に貢献します。

 

[大阪大学について]

大阪大学は、江戸時代に大阪に開設された懐徳堂、適塾を精神的源流とし、大阪府市民ならびに政財界の要望を受け、1931年に第6番目の帝国大学として創立されました。現在、11学部、16研究科、6附置研究所等からなる研究型総合大学として発展を続けています。社会と共に創造活動を展開する、社会との「共創(Co-creation)」をキーワードとして、創立100周年である2031年に「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」となることを目指しています。

所在地                  565-0871 大阪府吹田市山田丘1-1
総長                     西尾 章治郎
Webサイト          https://www.osaka-u.ac.jp/

[公益財団法人大阪国際がん治療財団について]

大阪府初となる重粒子線がん治療施設で、日本国内で6施設目となる大阪重粒子線センターは、20158月に建設工事着工し、201610月に施設を運営する主体として一般財団法人大阪国際がん治療財団を設立(後に公益財団法人に移行)、201710月に建物竣工、201831日から外来診療を開始し、同年1016日から重粒子線がん治療を開始しました。20222月現在延べ1,837人が治療を受けました。施設の管理は大阪重粒子線施設管理株式会社が行っています。

所在地                  〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前3-1-10
理事長                  髙杉 豊
Webサイト          https://www.osaka-himak.or.jp/

[大阪重粒子線施設管理株式会社について]

大阪重粒子線施設管理株式会社は、大阪重粒子線センターが利用する建物・装置を所有、維持管理する特別目的会社として設立されました。

所在地                  〒540-0008 大阪府大阪市中央区大手前3-1-10
社長                     小川 宏隆

[日立製作所について]

日立製作所は、データとテクノロジーで社会インフラを革新する社会イノベーション事業を通じて、人々が幸せで豊かに暮らすことができる持続可能な社会の実現に貢献します。「環境(地球環境の保全)」 「レジリエンス(企業の事業継続性や社会インフラの強靭さ)」 「安心・安全(一人ひとりの健康で快適な生活)」に注力しています。IT・エネルギー・インダストリー・モビリティ・ライフ・オートモティブシステムの6分野で、OTITおよびプロダクトを活用するLumadaソリューションを提供し、お客さまや社会の課題を解決します。2020年度(20213月期)の連結売上収益は87,291億円、20213月末時点で連結子会社は871社、全世界で約35万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立製作所のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。

所在地                  〒277-0871千葉県柏市若柴226番地44中央141街区1
本部長                  伊丹 博幸
Webサイト          https://www.hitachi.co.jp/products/healthcare/products- support/pbt/index.html

 

[粒子線治療について]

粒子線治療は放射線治療の1つで、水素の原子核を加速したものを陽子線、炭素イオンを加速したものを重粒子線といいます。体内に入射した重粒子線は、ある深さまではあまりエネルギーを与えずに、ピークになるところでがん病巣の位置に合わせることができ、その後は体内で停止します。

重粒子線はエックス線や陽子線に比べて生物学的効果(がんを殺す効果)が高い特徴があります。重粒子線がん治療は、切らずに、痛みもなく、高齢者にもやさしい治療で、限局性の固形のがん治療に適しています。治療回数・日数が少なく、仕事や日常生活を続けながら外来での治療も可能です。