AIスタートアップ「OptimAIze Consulting」、大阪大学大学院医学系研究科と認知症診療支援AIの共同研究を開始
2025年5月20日
アイ・ブレインサイエンスの日本初SaMD承認製品
『ミレボ®』の第2世代AIアルゴリズムを共同開発
東京大学医学部発スタートアップ OptimAIze Consulting株式会社(東京都港区、代表取締役 関戸 隆)は、大阪大学 大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学(寄附講座教授 森下 竜一・寄附講座准教授 武田 朱公)および株式会社アイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市、代表取締役 髙村 健太郎)の共同研究に参画し、三者による共同研究に関する契約を、大阪大学と2025年5月19日付けで締結しました。本共同研究では、認知症の診療支援に用いる保険適用SaMD「ミレボ®」を展開する株式会社 アイ・ブレインサイエンス(大阪府吹田市、代表取締役 髙村 健太郎)および大阪大学大学院医学系研究科と共に、MCI(軽度認知障害)や初期認知症のスクリーニングを支援する第2世代アプリのAIアルゴリズムを共同開発します。
本共同研究の背景
ミレボ® は視線計測で認知機能を定量評価するSaMDで、2025年1月1日に保険適用を取得しています。ミレボ®は、全11 問(約3 分)のタスク映像を提示し、正解選択肢に対する注視時間に基づいて認知機能を評価するシンプルな検査構成となっており、ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination、以下 MMSE)と高い相関を示しています。日本の認知症患者数は約600万人、軽度認知障害(以下 MCI)を含めると1,000万人超と推計されており、早期発見・早期治療の重要性が高まっています。特に近年、アルツハイマー病の進行を抑制する抗アミロイドβ抗体薬療法が承認され、適切な患者選定が求められています。しかし臨床現場では、MMSEが正常範囲でも初期認知症やMCIの可能性がある患者が存在します。詳細な検査(ADAS、WMS、RBMT等)は1時間近い時間を要し、かかりつけ医での実施は困難である一方、同時に疑い症例を全て専門医療機関に紹介することは、医療資源の観点から現実的でないという課題が存在しています。
本共同研究の目的
本研究では、MMSEなどの簡易検査では検出困難なMCIや軽度認知症を、わずか3分の検査時間で定量的かつ高精度に検出するAIアルゴリズムを開発します。これにより、早期の認知症患者に適切な医療を効率的に届けることを目指します。特に、抗アミロイドβ抗体薬療法の適応となる患者の見逃しを防ぎ、かかりつけ医から専門医療機関への適切な紹介フローの実現に貢献します。
期待されるインパクト
- 非専門医から専門医療機関への患者紹介フローの効率化・適正化
- 抗アミロイドβ抗体薬療法の適応患者の見逃し防止
- MMSE等の簡易検査では検出困難な初期認知症・MCIの早期発見を支援
- かかりつけ医での認知症スクリーニング精度の向上
- 視線データを活用した認知症鑑別診断の補助システムの実現