大阪大学とタカラバイオが先端ゲノム医療学共同研究講座を設置~先端ゲノム医療技術の開発と臨床実装を目指して~
4月2日発表
概要
国立大学法人大阪大学(以下、大阪大学)とタカラバイオ株式会社(以下、タカラバイオ)は、先端ゲノム医療技術開発の臨床実装をめざし、本年4月1日に、大学院医学系研究科に「先端ゲノム医療学共同研究講座」(以下、共同研究講座)を設置しました。
本共同研究講座では、次世代シーケンス※1解析をはじめとする高い遺伝子解析技術を活用した新たなゲノム医療※2の先端技術開発を行います。また、本分野の専門的な人材の育成にも取り組み、ゲノム医療の早期の社会実装化を行います。
大阪大学とタカラバイオは、昨年8月に「がんゲノム医療の社会実装化に向けた連携推進に関する協定書」を締結しております。これまでに、本協定に基づく「がんクリニカルシーケンス※3ラボ」を大阪大学医学部附属病院内に設置しています。今回、連携推進の第2弾の取組みとなる本共同研究講座の設置により、臨床に加えて学術的側面からも先端ゲノム医療を深めることが期待されます。
【共同研究講座概要】
講座名 | 先端ゲノム医療学共同研究講座 |
設置場所 | 大阪大学大学院医学系研究科(大阪府吹田市) |
設置期間 | 2018年4月1日から2020年3月31日まで |
研究責任者 | 谷内田真一(大阪大学大学院医学系研究科教授) |
研究代表者 | 前田大地(大阪大学大学院医学系研究科特任教授(常勤)) |
研究内容 |
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用語説明
※1 次世代シーケンス
従来のサンガー法を基にしたシーケンサーとは異なる原理に基づいた塩基配列解析装置により、数百から数億個の塩基配列データを並列に大量取得する塩基配列の解析技術を指します。
※2ゲノム医療
個々のヒトのゲノム情報を解析し、その結果を基に、効率的かつ効果的な疾患の診断・治療・予防を行うことです。
※3クリニカルシーケンス
遺伝子解析を医薬品の開発や治療などの臨床応用につなげることをいいます。患者さんに最適な抗がん剤を調べる手法の一つとして、がん患者さんのがん関連遺伝子異常を網羅的に解析するなど、近年注目されています。
※4リキッド・クリニカルシーケンス
組織からではなく、血液などリキッド(液体)からDNAサンプルを調製し、クリニカルシーケンスを行うことです。組織と比べて、血液などリキッドからのDNAサンプル回収は、患者さんの負担を低減できるメリットがあります。
※5シングルセル解析
シングルセル(一細胞)を単離し、単離された細胞から抽出したDNAを用いてシーケンス解析を行うことです。がん組織は、組織を構成している細胞によって遺伝子の発現に違いがあることが知られています。がんを理解するためには個々の細胞の状態を把握する必要があり、シングルセル解析が注目されています。
参考情報
【共同研究講座のホームページ】
http://www.comit.med.osaka-u.ac.jp/jp/project/projectA14.html
【2017年8月10日 Web】
「大阪学でゲノム医療がついに始動!大阪学とタカラバイオ 連携推進協定締結のお知らせ」
http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/8375
【2018年3月5日 Web】
「大阪大学医学部附属病院 タカラバイオ・サーモフィッシャーサイエンティフィックとのがんクリニカルシーケンスの社会実装に向けた連携の推進」
http://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/11262