共同研究講座

皮膚免疫微生物学

微生物と宿主の相互作用という観点から、皮膚疾患の病態を解明し克服する
  • 新たな皮膚微生物メタトランスクリプトームの手法を用いた、微生物叢の解像度の高い質的検証
  • 臨床研究を通じて、患者さんで起こっている事実を元に新しい視点でサイエンスを展開する
  • 微生物叢の新たな遺伝子変異・制御の発見及び病的意義の検証
  • 宿主の皮膚バリア・免疫応答と、微生物の動態・進化の相互作用を追う

解像度の高い微生物叢解析、iPS細胞を用いた皮膚微生物相互作用解析モデル、発展的にデザインした臨床研究を通じて皮膚の健康を実現する

皮膚はヒトの最外層を覆う人体最大の臓器であり、外的環境との相互作用を通じて、人体の恒常性・生命維持に必要不可欠な多岐に渡る役割を果たしている。皮膚表面に生息する微生物叢は解析手法の限界から、多くのことが不明なままであった。しかし、近年の次世代シークエンサー技術の向上によって、長年不明であった皮膚表面の微生物叢の全貌が徐々に明らかとなり、我々の想像を超える微生物叢・宿主の相互作用、特に皮膚の健康や病気との関連が次々と解明され注目を集めている。

本共同研究講座では、皮膚微生物叢の解析における現時点での技術的限界を超える、皮膚微生物叢のメタトランスクリプトームという我々が確立した新たな解析手法を活用し、細菌種別の質的な解析を行なっていく。また、国内の他の研究グループとの協力を通じて、細菌一細胞レベルの遺伝子発現(細菌シングルセル解析)を用いて、皮膚微生物叢が個体として、集団としてどのような振る舞いをするのかを探索していく。

これらの解析で明らかとなった皮膚微生物の役割を、ヒトiPS細胞を用いた3D皮膚モデルを利用して探求し、新たに得られた知見を元に臨床研究をデザインし、実験室の中だけでなく患者さんで何が起こっているのかを追求していく。これらの研究手法を通じて、様々な皮膚疾患の病態解明及び克服に全力で取り組みながら、新しいサイエンスをベースにした健康な皮膚の実現を目指す。