大阪大学 大学院医学系研究科 小児科学
Department of Pediatrics, The University of Osaka Graduate School of Medicine
大阪大学 大学院医学系研究科 小児科学
Department of Pediatrics, The University of Osaka Graduate School of Medicine
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臨床神経グループ
研究内容
小児神経疾患には様々な疾患があります。たくさんの患者がいる疾患もあれば、数が少なく、病態もわからない疾患もあります。小児神経の診療では、神経解剖や生理、細胞生物学や遺伝学といった基礎的な知識、診察法や検査といった基本的な評価法、神経疾患を数多く診療することで得た洞察力をもとに、未知の疾患でも文献からの知識を助けにしつつ、その患者にとって最善の治療を開拓していくことが必要です。研究でも、こうした臨床で得た知識や問題意識が生きてきます。私たちのグループでは、現在、神経希少疾患・難病の検討、そして特にGLUT1欠損症と先天性GPI欠損症の臨床研究を進めています。
GLUT1欠損症は、脳の主たるエネルギー源であるグルコースを、血液脳関門を超えて脳に輸送する唯一の蛋白、GLUT1の機能不全による疾患で、難治性てんかんや知的障害、種々の運動異常を呈します。治療として、グルコースの代わりにケトン体を利用できるケトン食療法が有効です。GLUT1欠損症は、1992年に初めて報告された新しい疾患です。未解明な課題として、重症度を予測する因子、乳児期に診断された患者の適切な管理法、脂質摂取を増やすケトン食療法を長期間継続することの影響、成人後の適切な治療戦略などがあります。私たちは、こうした問題を実際の臨床に即して、解明していきたいと考えています。
先天性GPI欠損症は、阪大微生物病研究所の木下タロウ教授らが2006年に発見した疾患です。脂質と5つの糖からなるGPIアンカーという鎖を通して、細胞膜と蛋白が結合し、細胞膜上の様々な化学反応を助けています。この疾患はこの鎖の生合成経路に異常が生じます。知的障害や難治てんかん、種々の奇形を合併する疾患で、重症度も幅広いのですが、診断されずにいる患者も多く、全体像は未解明で、有効な治療法も開発途上です。私たちは、臨床面から、患者データベースの構築、有用とされるビタミン類の投与試験など、順番に解き明かしていきたいと考えています。
研究メンバー
助教
谷河 純平
医員
菅野 直記、雨皿 千鶴
臨床登録医
青天目 信(大阪医療センター・招へい教員)、岸本 加奈子(枚方総合発達医療センター)
教授
下野 九理子