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「大阪大学医療経済産業政策学推進プロジェクト・キックオフフォーラム」開催報告

 

 

■日程:2018216

■場所:大阪大学 吹田キャンパス内「銀杏会館」3階 阪急電鉄・三和銀行ホール

■主催:大阪大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学

■共催:大阪大学 大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携・クロスイノベーションイニシアティブ

■後援:国立研究開発法人日本医療研究開発機構、近畿経済産業局、大阪府、大阪市、東大阪市、尼崎市

               大阪商工会議所、公益社団法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会、一般社団法人新経済連盟
    (順不同)

■参加者:約70企業・団体、約130名

概要

大阪大学医学系研究科公衆衛生学教室において、「医療経済産業政策学推進プロジェクト」を開始しました。本プロジェクトは、超高齢化少子化が進むわが国において、医療の発展や持続可能性について、医療経済評価、産業連携、政策提言の3つの観点から、研究を遂行する学問の醸成を目指しています。今回、当プロジェクトの発足にあたり、アカデミア、医療従事者、企業、行政の様々な分野の方々に、ご参加を頂き、議論を深めることを目的とし、キックオフフォーラムを開催いたしました。

基調講演の経済産業省 商務・サービス政策統括調整官 江崎禎英 様からは、「生涯現役社会の構築~社会保障制度改革の視点~」と題し、歴史的視点で見れば、19世紀型から21世型へと、人口構造は大きく転換しつつあり、 1960年~80年代に作られた社会保障制度が維持できないのは当然であること、時代や社会環境の変化に伴い、主たる疾患の性質が感染症型から老化・生活習慣病型へと変化していることから、このような社会の変化に合わせた予防・進行抑制型の新たな健康・医療システムを確立することが求められることを述べられました。
 

また、高齢化の進展に対応して、「生涯現役」を前提とした社会経済システムの再構築が必要で、65歳以上の高齢者が年金制度をベースとしつつ経済活動への緩やかな参加を維持することで自立型の経済プレーヤーとなり、生産年齢人口が競争力を有する経済活動を継続することを可能にするハイブリッド型の社会を構築することが重要であると述べられました。

このほか、第1部では、尼崎市企画財政局部長/大阪大学 大学院医学系研究科公衆衛生学 招へい准教授 野口 緑先生より、効果的な介入優先順位を考慮した効果的な保健指導、自治体における生活習慣病予防のための受療行動促進モデルについてご紹介を頂き、クリエイティブ・スーティカル株式会社 日本代表 大西  佳恵様より、医薬品を取り巻く環境変化から、新しいエビデンスとしての有効性から効率性の観点の必要性、新しい枠組みとして申請承認から薬価保険償還の必要性、また医療の発展や持続可能性の検討からも当プロジェクトへの期待を述べられました。

第2部では、国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部 部長 福田 敬先生より、日本でも公的医療保険制度のもとで、医療の効率的な取り組みが必要であり、医療経済評価はそのツールとして普及すると考えられ、自治体や保険者等による予防や保健事業などでも重要となること、またその評価にあたっては、適切な手法を用いて取り組むことが重要であり、そのためには分析を行うためのデータ及び人材を整備・育成することが必須である、と述べられました。また、京都大学大学院医学研究科 医療経済学 教授 今中 雄一先生は、医療資源の適正配分による地域医療サービスの向上と、医療介護制度の再構築に向けた行政・市民・産業が参画する社会的協働の必要性を述べられました。

3部では、座長・パネリストから日本の医療制度がガラパゴス化していることの懸念や、現制度の中で医療制度を議論するのではなく、あるべき社会システムの中で重症化予防などを含めた医療制度を考えるべきである、という意見が交わされ、「社会(社会経済・社会システム)の中で医療を考える」というプロジェクトのキックオフのフォーラムを終了しました。

 

当日プログラム

*開会挨拶:大阪大学大学院医学系研究科長 金田 安史

*基調講演:経済産業省 商務・サービス政策統括調整官 江崎 禎英

「生涯現役社会の構築~社会保障制度改革の視点~」

(座長)講演者のご紹介:

大阪大学 大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携・クロスイノベーションイニシアティブディレクター /心臓血管外科学  教授 澤 芳樹 

【第1部 行政・産業界から】

座長:大阪大学 大学院医学系研究科 特任准教授 浅野 武夫

講演者:

・尼崎市企画財政局部長/大阪大学 大学院医学系研究科公衆衛生学 招へい准教授 野口 緑

・クリエイティブ・スーティカル株式会社 日本代表  大西 佳恵

【第2部 アカデミアから】

座長:大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 教授 磯 博康

講演者:

・国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部 部長 福田 敬

・京都大学大学院医学研究科 医療経済学 教授 今中 雄一

【第3部 パネルディスカッション】

座長:大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 教授 磯 博康

大阪大学大学院医学系研究科 特任教授 徳増 有治

パネリスト:(お名前50音順)

・大阪大学 大学院医学系研究科 特任准教授 浅野 武夫

・京都大学大学院医学研究科 医療経済学 教授 今中 雄一

・経済産業省 商務・サービス政策統括調整官 江崎 禎英

・大阪大学 大学院医学系研究科・医学部附属病院 産学連携・クロスイノベーションイニシアティブディレクター/ 心臓血管外科学 教授 澤 芳樹

・尼崎市企画財政局部長/大阪大学 大学院医学系研究科公衆衛生学 招へい准教授 野口 緑 *閉会挨拶: 大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 教授 磯 博康