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3) 分子イメージング
脳循環代謝イメージング

脳低灌流モデルラットの脳循環代謝

脳低灌流状態を実験的に評価するための動物モデルとして、ラットの両側総頚動脈結紮モデルがよく用いられます。このモデルでは、前方脳循環は結紮により低下しますが、後方脳循環は低下しません。従って、モデル動物の脳循環代謝は脳動脈の支配領域によって変化し、それが脳組織や認知機能の変化に影響を及ぼすものと考えられます。しかし、このような小動物の脳循環代謝を計測することは難しいこともあって、脳低灌流モデルラットの脳循環代謝は不明でした。当講座では、小動物PET-CTを用いたO-15 PET gas PET(steady-state法)によって、脳低灌流モデルラットの脳循環代謝を明らかにしました。 その結果、術後早期では広い範囲に脳循環の低下、虚血変化を認め、慢性期には、特に前大脳動脈領域での脳血流低下、代謝低下が残存することがわかりました。 慢性期の脳低灌流モデルラットでは、この変化によると考えられる、認知機能低下、脳萎縮、組織学的変化が認められています。

ラット両側頸動脈結節モデルの脳循環代謝

Shamモデルとの統計学的画像比較

Kato H, et al. Brain Res. 2019;1719:208-216

アストロサイト代謝障害における脳循環代謝

フルオロクエン酸(FC)は、アストロサイトのTCAサイクルの特異的代謝阻害剤として用いられます。今回、FCを用いたアストロサイトの代謝阻害が脳酸素代謝に影響を与えるかどうかを評価しました。
14C-Acetate オートラジオグラフィーにてアストロサイトの代謝を評価したところ、FC注射4時間後に有意な代謝低下が認められました。一方、15O-ガスPETで評価した脳血流および酸素代謝に有意な変化を認めませんでした。1)
ラット脳のアストロサイトにおいてTCAサイクルを阻害した状態においても、局所脳血流・酸素消費量は維持されていました。

1) C.Malacia et al. Brain Science. 2019.