教室紹介

研究内容

Research

2) PET/SPECT画像診断【脳PET/SPECT/SPECT】
脳循環PET

PETを用いた脳機能相関評価

デフォルトモードネットワーク(DMN)は安静時に賦活される脳内ネットワークとして、O-15ガスPETによって、明らかになりました。1)
脳内のネットワーク評価にはresting-state functional MRI(rs-fMRI)が用いられますが、原理上、BOLD(blood oxygenation level-dependent)信号においては、脳酸素代謝と脳血流の影響を分離して評価することができません。 2)
当教室では、 DMNにおける機能的相関をO-15ガスPETによって評価し、脳血流量(CBF)と脳酸素消費量(CMRO2)の相関(Intersubject correlation coefficients)を評価しました。 3)
結果として、CBFはCMRO2よりも多くの機能的相関を示し、酸素代謝に比べて、血流の変化がDMNにおける機能的相関をより高感度に捉えられることが明らかになりました。 3)

1) Raichle ME, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001.
2) Watabe T, et al. Front Neurosci. 2019.
3) Aoe J, et al. Ann Nucl Med. 2018.

DMNにおける機能的相関のシェーマ
DMNにおける機能的相関のシェーマ
脳賦活化における酸素代謝、血流、BOLD信号の関係
脳賦活化における酸素代謝、血流、BOLD信号の関係

虚血性脳血管障害のPET、SPECT

虚血性脳血管障害における血行再建の適応を検討する上では、血行力学的脳虚血リスクを評価が必要となります。これを評価するための代表的な指標は、O-15 PETにおけるoxygen extraction fraction (OEF)や、mean transit time (MTT)と呼ばれるものです。しかし、O-15 PETを行うためには、病院にサイクロトロンが設置されていなければなりません。また、O-15 PETは、放射性ガスを吸入させたり、動脈血を採取したりと、煩雑な手技が必要です。当講座では、I-123 iomazenil (IMZ) SPECTと脳血流SPECTを用いて、OEFやMTTを評価する方法を提唱しました。これは、脂溶性薬剤であるI-123 IMZの脳への摂取率(IMZ-EF)が酸素摂取率あるいはMTTと強く相関することに基づいています。
この方法では、SPECTは2回撮像する必要がありますが、左右比を算出する目的であれば、採血も必要ありません。

IMZ SPECTによる脳代謝予備能の推定
IMZ SPECTによる脳代謝予備能の推定

Kato H, et al. PLoS One. 2018;13:e0190720