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HEARTROID(ハートロイド) PROJECT(プロジェクト) とマサチューセッツ工科大学が クリエイティブパートナーシップを開始

HEARTROID®にてX線透視下での心臓カテーテル治療シミュレーション

 

概要

この度、「HEARTROID PROJECT (日本)」とマサチューセッツ工科大学 (MAUSA、以下MIT)の「Therapeutic Technology Design & Development Lab(以下TTDD Lab) は、本日クリエイティブパートナーシップの開始を発表いたしました。

心臓カテーテルシミュレーターHEARTROID®は、拍動流を有し、解剖学的に精緻な3Dモデルから構成されるという特徴を活かし、TTDD Labが進める手術用デバイスの開発において、コンセプトづくりから検証までのプロセスの加速に貢献いたします。「HEARTROID PROJECT」は、大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学、株式会社JMC、フヨー株式会社により、医師や医学生を対象とした、心臓カテーテルシミュレーターの開発を目的として、2013年にスタートしました。プロジェクトのコンセプトは「世界の患者さんが安全に心臓カテーテル治療を受けられることを目指す」です。

  • HEARTROID PROJECTからのコメント
    HEARTROID®は、革新的なカテーテルデバイスの開発を通じて患者さんの治療成績を改善するための科学研究コミュニティの挑戦を支援します。HEARTROID®を通じて得られた3Dモデリングの専門知識をもとに、MITのTTDD Labを支援することで、人間が本来有する生物学的機能を引き出し融合発展させる新しい医療機器のデザインに貢献できることを期待しています。
  • MITTTDD Labからのコメント
    HEARTROID PROJECTと提携し、臨床に大きなインパクトを与える可能性のある革新的なデバイスの開発と検証を行うことができ、大変嬉しく思っています。心血管デバイスの機能と性能に対し包括的な試験と評価を行うことは、規制当局の承認取得と臨床への導入を達成するために非常に重要なプロセスです。私たちがHEARTROID®を選択した理由は、このプラットフォームが、複数の患者固有の解剖学的構造から得られた臨床的知見を統合し、シミュレーターとして有機的に合成することを実現しているためです。

HEARTROID®について

HEARTROID®は、実臨床と同じX線透視下にて、鮮明な血管造影画像を短時間の準備で再現します。持ち運び可能な設計であるため、手術室における本格的なトレーニングから、卓上でのイメージトレーニングまで、医師をはじめとする医療従事者は、場所を選ばずカテーテル操作のシミュレーションを簡単に行うことができます。3Dプリンターを用いて作られた透明な心臓モデルは、心臓の中でのカテーテルの動きを直接観察することを可能にし、X線透視だけでなく、超音波をはじめとする他のイメージングモダリティにも対応しています。狭心症や心筋梗塞にてステントを留置するPCI(冠動脈形成術)、不整脈治療におけるカテーテルアブレーションやリードレスペースメーカーの留置、そしてTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)に代表される弁膜症の治療など、多くの手術手技のトレーニングを行うことができます。拍動流を有し、解剖学的に精緻な3DモデルからなるHEARTROID®は、研究開発、試験、品質管理の目的で医療機器開発の現場でも広く活用されています。HEARTROID®は、HEARTROID PROJECTにより開発され、2015年に株式会社JMCより上市、20207月現在において世界15カ国へ導入されています。尚、本製品は医薬品医療機器等法上の医療機器ではありません。本プロジェクトは、2014年度に厚生労働省、2015年度から 2016年度において国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)より「医療機器開発推進研究事業」としての支援を受けています。

MITのTTDD Labについて

MITのTTDD Labでは、生体本来の機能を高め補助する医療機器の設計開発を目的とした研究をおこなっています。特に自然界の原理から発想を得る、バイオミメティクスデザイン(生体模倣)を基調とした植え込み型治療機器を研究しています。研究開発のテーマは大きく分けて、

(ⅰ) 機械的な生体補助・治療デバイス

(ⅱ) 生体材料、治療のためのデリバリーデバイス

(ⅲ) 前臨床段階用のコンピューター計算による試験モデル

3つの分野に分類されます。

MIT TTDD Labのビジョンは、循環器系や呼吸器系に代表されるような、本来生体に備わる機能を補助し回復させるというアプローチにおいて、根本的な解決手法を見出し、この領域にパラダイムシフトを起こすことです。そして、新たなテクノロジーと生体が本来もつ複雑なバイオメカニクスとを融合することで、究極的には、病気やけが、そして先天性の疾患で苦しむ人々のQOL(生活の質)の改善を目指したいと考えております。