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岡田随象教授が第4回日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞

2020年12月24日

大阪大学大学院医学系研究科 岡田随象(ゆきのり)教授(遺伝統計学)が、日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞を受賞しました。

遺伝統計学を駆使した「ゲノム個別化医療」への貢献

【功績】
岡田教授は、遺伝情報と形質情報の因果関係を統計学の観点より評価する「遺伝 統計学」の先駆的開拓者で、自ら開発した複数の解析手法を用いることで、ヒト 疾患メカニズムの解明と新規治療戦略に関する研究開発を推進し、ゲノム個別化 医療への貢献を果たしました。また、人材不足が指摘される遺伝統計学の領域におい て、若手人材の育成にも尽力し、多くの研究者を輩出することに成功しています。

【概要】
○ 大規模全ゲノムデータを利用して、日本人集団の構造化を解明するために、ゲノムワイドに 自然選択圧を推定する遺伝統計解析を行い、日本人集団が飲酒や肥満、腎機能への適応進化 を遂げてきたことを報告した。さらに、日本人集団内のゲノム多様性が、多因子疾患に対する 個別化医療実装時のバイアスとなることを世界で初めて明らかにした(図1)。

○ 疾患ゲノム情報と組織特異的マイクロRNA発現情報を統合する遺伝統計解析手法 (MIGWAS)を開発し 、関節リウマチのマイクロRNAバイオマーカーを同定した(図2)。 また、大規模疾患ゲノム情報を基軸とした横断的オミクス解析を活用し、多因子疾患や難病 に対する個別化医療に資するコンパニオン診断薬の開発を進めている(図3)。

○ 2016年度より毎年、遺伝統計学および疾患ゲノム解析のハンズオンセミナーを主催し、 多くの若手研究者に専門的知識や技術を教育する等、次世代のライフサイエンスを担う人材 の育成に積極的に取り組んでいる(図4) 。

HPより引用

 

受賞コメント

このたびは、日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に感じております。次世代シークエンサーに象徴されるゲノム配列解読技術の著しい発達により、数十万人規模のゲノム情報が日常的に解析される時代が到来しています。しかし、構築された疾患ゲノム情報を適切に解釈し、ゲノム個別化医療の社会実装や新規創薬へとつなげる具体的な道筋は未だ見出されておりません。これからも、遺伝統計解析を通じた研究活動による貢献を目指していきたいと考えております。研究を支えてくださった多くの皆様に御礼申し上げますと共に、今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。