教室紹介

2011年度報告

就任のご挨拶

私は、2011年9月1日より佐古田三郎先生の後任として、神経内科学教室を担当させていただいております。伝統ある大阪大学神経内科学教室をさらに発展させ、広く関西の医療に貢献できるよう努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

大阪大学神経内科は、神経内科と脳卒中科が一緒になり、臨床、研究がより一層充実しております。具体的には、脳卒中、免疫疾患、筋疾患、神経病理のグループが活躍しておりますが、パーキンソン病を中心とした神経変性グループも立ち上げ、大変大きな規模の教室となりました。特に臨床面では、急性期治療として救急の脳卒中診療を脳外科とタイアップし、tPAやメルシーを使ったinterventionまで積極的に取り組んでいます。一方、パーキンソン病を中心とした変性疾患、多発性硬化症などの免疫疾患、筋疾患、末梢神経疾患などの非常に多様な疾患も、それぞれの専門医が中心となり、35床のベッドで対応しております。12人のスタッフと医局員で総勢約30人の教室で指導体制も確立し、神経臨床は充実しており、神経臨床を学ぶためには最高の環境であると思います。

また、大阪大学神経内科は、大阪を含む近畿一円の関連病院に多くの部長、医長を輩出し地域医療に貢献しています。関連病院では、急性期医療や慢性期医療など、それぞれに特徴を持ち、研修医の希望を反映し、且つ十分に神経内科研修ができるような独自のシステムを構築しています。大阪大学病院神経内科学の後期研修についても、広く日本のどこの大学からも受け入れるよう体制を整えております。学閥などでの研修が異なることは一切ありません。後期研修医教育においても、エビデンスに基づいた診断・鑑別診断を徹底討論し、検査・治療方針を決定します。その結果、あらゆる問題にひとりで対処できる臨床能力を身につけるよう指導します。さらにこの期間は臨床神経学に加え、臨床生理、神経放射線、神経病理、神経遺伝学の教育も受けられるように個々のカリキュラムを調整しています。

研究はできるだけ本人が臨床で得た疑問を解決するようなテーマを尊重して選択しています。当教室には、パーキンソン病を含めた変性疾患、血管障害、神経免疫、神経筋疾患等、神経疾患各分野のエキスパートがおり、それぞれの指導者のもと世界レベルでの研究が推進されています。また、神経病理グループは、刀根山病院との連携をとりNCPCを開催することになり、神経病理研究も充実しております。私自身は、孤発性パーキンソン病の発症機序の解明、新規治療法の開発を研究員時代から追求しています。パーキンソン病は、家族性パーキンソン病の原因遺伝子として1997年alpha-synucleinが同定されました。しかし、まだその遺伝子の正確な機能、蛋白構造すらわかっていません。大阪大学神経内科学のひとつの大きなプロジェクトとして、パーキンソン病の発症原因の解明、新規治療法の開発を多くの医師や研究者と一緒に推進したいと考えております。皆様のご指導と御鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学 教授 望月秀樹
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