教室紹介

年度報告

2022年度報告

今年度は、研究論文が多数報告できました。安水良明先生、奥野龍禎先生が中心となって MG の胸腺腫に おける神経筋関連因子を発現する細胞(nmTec)を同定し、一部の機能を解明し Nat Commu. に報告しま した。これは、胸腺腫合併 MG 研究としては、中心病態を捉える結果を得て、海外からも称賛頂きました。 権泰史先生が、大阪府のがん登録と日本人の人口動態統計データーを用いて、がん生存者における脳卒中死 亡率ががん非罹患者より高い事を証明しました。また関連病院では、大阪医療センターの山上宏先生が中心 となって、広範囲急性期脳梗塞に対する血管内視鏡の多施設共同非盲検無作為化臨床試験を NEJM に発表 しました。これは、日本における広範囲急性期脳梗塞に対する血管内治療の優位性を示した貴重な報告です。 さらに昨年度は、山下里佳先生、別宮豪一先生が中心となって TDP-43 のみ黒質に蓄積しているパーキン ソン病を剖検解析で報告しました。今後の治療を考える上で、貴重な報告となり、多くのメディアで報道さ れました。その他、神経病理の症例報告も続けて発表しています。これは、今まで村山繁雄先生が中心となっ て構築してきたブレインバンク・システムが確立された事を示します。この活動は、連合小児発達学において、 谷池雅子教授ご指導のもと、発達障害、自閉症などの小児疾患にも注力しています。また神経内科のみなら ず、精神科、脳神経外科、病理学、法医学教室との連携を推進しております。これらの連携活動が認められ、 バーチャルスライドなど備えた神経病理共同研究室が 2023 年 4 月に設立されました。さらに今後の運営に おいて、大阪大学未来基金にパーキンソン病・認知症を中心とした「ブレインバンク」支援基金が設立され ました(https://www.miraikikin.osaka-u.ac.jp/project/brainbank)。今後は、広く事業が活性化するような 活動を予定しておりますので、皆様のご支援を宜しくお願い致します。

このような活動のもと、ここ数年の当科での大きな人事異動についてご紹介します。2021 年 1 月には、 永井義隆先生が近畿大学医学部脳神経内科学主任教授に就任され、臨床のみならず、基礎研究部門も同時 に運営されており、益々のご活躍が期待されます。同年平野牧人先生は、同臨床教授に就任されました。 2022 年 4 月長野清一先生が、永井先生の後任として神経難病認知症探索治療学寄附講座教授に就任されま した。寄附講座准教授に佐々木勉先生が就任されましたが、2023 年 4 月に大阪大学大学院医学系研究科保 健学専攻再生誘導医学協働研究所特任教授にご就任され、神経再生を研究する新たな教室を立ち上げました。 2023 年 1 月中森雅之先生が、神田隆先生ご退官後に、山口大学臨床神経学講座主任教授に就任されました。 こちらも大きな教室で、臨床とくに末梢神経疾患や免疫疾患などで有名ですが、中森先生の専門とする筋強 直性ジストロフィーやトリプレットリピート病という神経難病に対する新規療法開発などの発展が期待され ます。また 2023 年 4 月三原雅史先生が、川崎医科大学神経内科学主任教授にご就任され、梶山裕太先生が 講師として赴任されました。臨床に重点を置いて、リハビリテーションなどとの連携を推進されるのではな いかと思います。ここ数年当教室から、他大学を含め、多くの方が教授として旅立ち活躍されています。ど うぞ皆様の温かいご支援、ご指導を宜しくお願い致します。

最後になりますが、今年度から関連病院の記事を掲載しました。各関連病院の活動をご覧頂き、こちらも ご支援、ご指導を宜しくお願いいたします。

大阪大学大学院医学系研究科 神経内科学 教授 望月秀樹
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