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新規医療技術の社会実装の推進で連携!~大阪大学医学系研究科が中国科学院上海高等研究院(SARI)と協定締結~

2月13日発表


概要

このたび、大阪大学大学院医学系研究科は、ライフサイエンス領域における社会実装の加速を目指し、中国科学院上海高等研究院(SARI)と連携協定を締結することになりました。大阪大学はこれまで橋渡し研究拠点として、新規医療技術の実用化に取り組んできました。一方、中国では近年基礎研究においては大きな伸びが見られるもののその多くは実用化に至っていないことに問題意識を持っています。そこで、社会実装推進のシステムが整備されている大阪大学とこの分野において連携・協力して、社会実装における課題解決、国際化のさらなる推進に取り組みます。

背景

中国科学院上海高等研究院は、中国科学院12分院の1つとして、2012年より上海市人民政府と協働で先端的科学技術開発の司令塔として、幅広い科学技術分野における革新的研究開発、産学連携の育成を担い、技術インキュベーション等を重点的に推進しており、生命科学分野はその大きな柱の一つです。2013年には教育機関として上海市人民政府が主管し中国科学院が共同運営する上海科技大学(ShanghaiTech University)が開設され、上海高等研究院と一体化した教育、研究が行われています。2015年 蛋白質研究所(National Protein Science Center)の稼働、既存の大型放射光施設の合併に続き、新規設備が建設中であるなど、国の研究施設の新設、統合を精力的に進め、中国におけるバイオメディカルサイエンスの教育、研究、開発のオープンプラットホームを形成しつつあります。2017年には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が協力して、最新省エネ型の幹細胞再生医学研究棟も竣工されました。

この中国科学院上海高等研究院の発展に見られるように、中国は近年、最先端科学技術のイノベーションを強力に推進し、その結果、研究においては飛躍的な成果をあげています。しかし、その研究成果の多くは実用化に至っていないことに強い問題意識を持つようになりました。

一方、大阪大学大学院 医学系研究科・医学部附属病院は2007年から大阪大学橋渡し研究拠点として、新規医療技術の実用化やベンチャー設立・運用支援等、基礎研究技術の社会実装に精力的に取り組んできました。大阪大学が培ってきたこのライフサイエンス領域における基礎研究成果の社会実装の経験と実績をふまえて、双方協議の上、それぞれの機関が持つ特性を活かして、社会実装を妨げる課題の解決、国際化のさらなる推進に協力して取り組んでいくことで合意し、この度の協定締結に至りました。

今後の展開

本協定期間(4年)では、大阪大学がこれまでの経験で見出された社会実装における問題点や課題を抽出し、解決のためのプロジェクトを立て、大阪大学のチームを組織し、中国側に提案します。この提案を受けて中国側は上海高等研究院がヘッドクウォーターとなって、プロジェクト推進にふさわしいパートナーの検討、チーム作り等を行い、双方が協働してプロジェクトを推進、課題解決に当たります。

これによって、日本国内だけでは解決できない、または時間を要する課題についての解決を図り、国際的な社会実装の加速を促します。特に政府系機関の関与が重要となる中国における社会実装の加速(臨床研究、国際治験、レギュラトリーサイエンスの構築等)が期待され、将来的には、相互における社会実装システムの構築支援・加速化、さらにはアジアにおけるハブ的機能の実現、教育・研究・社会実装の一貫した国際的社会実装システムの構築が期待されます。

本件について、2月13日吹田キャンパスにて記者発表を行いました。