ナレッジキャピタル超学校「阪大発の最先端医学研究に触れる」~第4回 寄生虫トキソプラズマと免疫~
7月17日に大阪大学大学院医学系研究科・大阪大学免疫学フロンティア研究センター・ナレッジキャピタル主催のサイエンスカフェを大阪市内で開催しました。シリーズ最終回となる第4回は、免疫学フロンティア研究センターの笹井美和 准教授(免疫寄生虫学)が「寄生虫トキソプラズマと免疫」について講演しました。
トキソプラズマは人類で多く感染している寄生虫で、日本人でも20~30%が感染していると言われています。胎児期に感染する先天性のトキソプラズマ症が増加の傾向にあり問題となっていますが、感染の詳しいメカニズムは分かっていません。
笹井准教授らのグループは、トキソプラズマ感染で誘導される自然免疫の機構をノックアウトマウスや遺伝子解析により調べています。細胞の中でトキソプラズマが家のような構造体(寄生胞)を作って増えることや、そこから様々なタンパク質が分泌されることについて、一つずつメカニズムを辿りました。その結果、感染部位でトキソプラズマが放出するタンパク質の中に好中球を呼び寄せるものがあり、その好中球によって全身に感染が拡大されることが分かりました。今後は、寄生虫以外にも病原体含有膜を作るカビや細菌などにも研究対象を広げ、自己免疫疾患の解明にも繋げたいと語られました。
会場では、トキソプラズマのライフサイクルや感染経路、ワクチンがあるのかなど、今回は学生の参加者も含めて来場者からたくさんの質問が寄せられていました。