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第379回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)

第379回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)
日時平成29年7月10日(月)18:00~
場所大阪大学医学系研究科附属 最先端医療イノベーションセンター棟1階 マルチメディアホール
演題膵癌集学的治療における栄養障害克服の重要性
演者

奈良県立医科大学消化器・総合外科
庄 雅之 先生

概要

膵癌が最も予後不良な難治癌であることは周知の通りであるが、最近の新規化学療法の導入により、予後も改善傾向にある。今なお切除が唯一の根治を期待できる治療であるが、化学療法を含めた集学的治療は、予後向上には必須である。膵癌治療においては、腫瘍自体の高い悪性度のみならず、膵内外分泌機能障害に起因する低栄養、下痢、浮腫、腹水等により、時に治療の継続が困難となる。当科では、これまで予後向上を目指して、院内各関係診療科との緊密な連携の下、集学的治療を行い、一定の予後向上を達成してきた。実際、2006年からは術後肝転移再発抑制を目的として、ゲムシタビン併用5FU大量肝動注療法を導入し、術後肝転移再発は激減した。その結果、局所再発が克服すべき課題となり、2008年からは術前化学放射線治療を導入した。これらの集学的治療完遂例においては、顕著な予後延長が得られ、根治を含む長期生存も認められるようになってきている。しかし一方、集学的治療を完遂できない症例が1/3程度存在し、これらの予後は極めて不良であることも明らかとなった。様々な検討の結果、栄養代謝障害が膵癌集学的治療非完遂となる有意な独立リスク因子であることが判明した。したがって、現行治療の下では、さらなる膵癌予後向上には、栄養代謝障害の克服が大きな臨床課題であることが示唆されている。当科のこれまでの経験と今後の展望について、紹介させていただきたい。

世話人 看護実践開発科学 梅下 浩司
E-mail: umeshita@sahs.med.osaka-u.ac.jp
次回は保健センター 守山 敏樹先生のお世話で平成29年9月11日開催予定です。