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第412回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)

第412回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)
日時

令和6年2月19日(月)18:00〜

開催方法

大阪大学医学部講義棟2階 C講堂(吹田市山田丘2-2)
Zoomによるオンライン同時開催
Webによる参加方法はこちらをご参照ください

テーマ・講師

「一歩先を目指した肝硬変の栄養治療とは?」
 市立貝塚病院 総長   片山 和宏 先生

概要

 慢性肝疾患では、病変の進行とともに肝予備能が低下し、QOLや耐術能、生命予後が不良となる。肝予備能の指標として頻用されるChild-Pugh gradeやALBI scoreには血中アルブミン濃度が含まれており、アルブミンを中心とした窒素代謝の役割は大きい。

 Careceniらにより実施された非代償性肝硬変に対する臨床試験により、アルブミン製剤投与は生命予後改善効果を示すこと、その効果は血中アルブミン濃度が4.0g/dL以上で最もよく見られることが示され、アルブミン濃度を維持する重要性が確認されている。

 肝硬変でのアルブミン濃度低下の原因は、合成能低下+異化亢進であり、その対策として蛋白負荷量増量、分割食、BCAA製剤投与の有効性が示されている。但し、肝硬変では消化管でのアンモニア産生量増加+肝のアンモニア処理能低下のため、蛋白負荷量が閾値を超えると高アンモニア血症をきたす。アンモニアは、肝性脳症の原因となるだけでなく、肝線維化、肝細胞障害、免疫能低下、サルコペニアの増悪因子であり、肝疾患の栄養療法ではアンモニア代謝異常の評価と対策は不可欠である。薬物療法として、合成二糖類、難吸収抗菌薬を中心に、亜鉛製剤等が推奨されているが、蛋白制限は極力避けるべきとされつつある。

 近年、肝硬変の病態をより早期に診断し、介入する有用性が課題となりつつある。臨床症状からは診断しにくい不顕性肝性脳症や静脈血で高アンモニア血症が見られないアンモニア代謝異常潜在期の臨床的意義についても述べたい。

※本研究会は医学系研究科 単位認定セミナーです。
※本研究会はどなたでもご参加いただけます。

世話人:消化器内科 小玉 尚宏
E-mail:t-kodama@gh.med.osaka-u.ac.jp
次回、第413回CNCは、管理栄養室 長井 直子 室長のお世話で令和6年5月13日(月)に開催予定です。