第392回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)
第392回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC) | |
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日時 | 平成30年11月12日(月)18:00〜 |
場所 | 大阪大学医学部講義棟2階B講堂(吹田市山田丘2-2) |
演題 | リウマチ・アレルギー疾患と腸内細菌叢 |
講師 | 前田 悠一 先生 |
概要 | これまで培養困難であった腸内細菌叢の実態が、次世代シークエンサーを用いた網羅的DNAシークエンス解析により明らかになりつつある。さらに、腸内細菌叢は腸管のTh17細胞や制御性T細胞などの分化や活性化に関与し、腸管の生体防御における恒常性を維持している。この腸内細菌叢の組成が何らかのきっかけにより異常を来たすと(dysbiosis)、腸管の免疫異常を介して、宿主の全身の免疫異常に発展すると考えられる。近年、増加している潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患においてdysbiosisの報告がされている。また、関節リウマチや多発性硬化症、気管支喘息、アレルギー疾患などの腸管以外に異常を来す疾患においてもdysbiosisとの関連について多くの報告が認められる。本講演では、関節リウマチ患者の腸内細菌叢の異常、腸内細菌叢ヒト化関節炎モデルマウスを用いたわれわれの解析結果について説明する。関節リウマチ患者ではPrevotella属細菌が増加し、この菌叢を無菌のSKGマウス(関節炎モデルマウス)に定着させると関節炎が増悪することが判明した。そして、関節炎悪化のメカニズムとして腸管でのT細胞の活性化が関与していることが示唆された。さらに、われわれは関節リウマチ患者からPrevotella copri菌を単離することに成功し、健常者で認められる菌との違いについて解析を進めている。また、本講演では、関節リウマチだけではなく、腸内細菌叢・腸管免疫と気管支喘息・アレルギー疾患との関わりについても最近の知見を紹介する。 |
世話人:医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 楢崎 雅司
E-mail: mnarazaki@imed3.med.osaka-u.ac.jp
※事前申し込み不要・参加費無料※
次回第393回CNCは、保健学科 木原進士先生 のお世話で1月21日(月)開催予定です。