第391回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC) |
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日時 | 平成30年10月15日(月)18:00〜19:00 |
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場所 | 大阪大学医学部講義棟2階B講堂 |
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演題 | ビタミン欠乏と中枢神経症状〜栄養、中毒、代謝異常を中心に〜 |
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演者 | 岡山大学大学院発達神経病態学(小児神経科)秋山 倫之 先生 |
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概要 | ビタミンは生体の適切な機能維持に必須の物質であるが、生体内で十分量合成できないため、主に食料、一部は腸内細菌から供給されている。ビタミン欠乏は種々の理由で起こり、けいれん、意識障害、精神症状等をきたしうる。 栄養過誤、長期の経管栄養や経静脈栄養等により栄養性のビタミン欠乏が起こりうる。最近話題になったイオン飲料過剰摂取と偏食によるビタミンB1欠乏症では、脚気やウェルニッケ脳症を発病し、意識障害の他、一部ではけいれんがみられる。ビタミンB6は栄養性の単独欠乏は少ないが、銀杏毒や一部の薬物(テオフィリン、イソニアジド等)で機能的欠乏が起こり、けいれんの原因になる。葉酸(ビタミンB9)欠乏では、貧血や精神症状がみとめられる。葉酸受容体αに対する自己抗体産生により中枢神経系への葉酸輸送障害が起こり、けいれん、精神症状、発達障害等がみとめられる。また、妊婦での葉酸欠乏は胎児の神経管閉鎖不全のリスクを増大させる。ビオチン(ビタミンH)欠乏症は、長期間の経静脈栄養、抗てんかん薬や抗菌薬の長期内服、生卵白の長期摂取、妊娠等が原因で起こり、皮膚病変の他、けいれんや精神症状がみられうる。ビタミン様物質であるカルニチンの欠乏症は、カルニチンを含まない経管栄養剤の長期使用、バルプロ酸内服、一部の抗菌薬内服等でみとめられ、意識障害、けいれんなどを引き起こす。 いずれの病態においても正しい対応を行えば、症状の劇的な改善が見込めるため、早い段階で正しく診断し、適切な治療を始めることが重要である。 |
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世話人:大阪大学大学院医学系研究科小児科学 三善陽子, 大薗恵一
TEL:06-6879-3932 FAX:06-6879-3939
※事前申し込み不要・参加費無料※
次回第392回CNCは、免疫内科楢崎先生のお世話で11月12日(月)開催予定です。