第404回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)
第404回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC) | |
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日時 | 令和2年2月3日(月)18:00〜 |
場所 | 大阪大学医学部講義棟3階D講堂(吹田市山田丘 2-2) |
演題 | 『異所性脂肪蓄積と糖尿病』 |
講師 | 大阪大学大学院医学系研究科糖尿病病態医療学寄附講座 |
概要 | 世界的にみて糖尿病患者数は増加の一途を辿っており、わが国においても例外ではない。要因として動物性脂肪摂取の増加、運動量の低下が挙げられ、我が国における糖尿病患者の体格指数(BMI)は増加傾向にある。なかでも内臓脂肪蓄積をはじめとする異所性脂肪蓄積は、酸化ストレス、炎症、アディポサイトカイン分泌異常等をきたしてインスリン抵抗性を惹起し、糖尿病発症・病態の増悪につながる。 異所性脂肪蓄積を来す代表的部位としては腸間膜(いわゆる内臓脂肪)の他、肝臓が挙げられ、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は2型糖尿病患者では約半数にみられるとされる。脂肪性肝疾患の中でも非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は将来の肝癌発生のリスクともなり大きな問題である。その他あまり知られていない異所性脂肪蓄積臓器として膵臓があり、糖尿病患者では膵脂肪化がみられやすいことが報告されている。膵脂肪化は膵癌とも関連するとされ、膵癌は糖尿病患者における癌による主要な死因の一つとなっている。我々は自験例で膵脂肪化の強い症例は経時的なインスリン分泌低下を来しやすく、膵手術例では術後の耐糖能悪化がみられやすいことを見出し、膵への異所性脂肪蓄積と糖代謝異常の関連を報告している。その他難治性冠動脈疾患を呈する肥満2型糖尿病患者において心筋だけでなく冠動脈への異所性脂肪蓄積が示唆されることを症例報告し、心への脂肪蓄積を来す患者の臨床像を明らかにすべく多施設共同研究を開始している。 本講演ではこれら臓器を中心とした異所性脂肪蓄積と糖尿病の関連を中心に自験例を交えて報告、さらに同脂肪蓄積の改善を期待できる糖尿病治療薬および最近の食事療法のトピックを交えて概説する。 |
世話人:内分泌・代謝内科学講座 西澤 均
E-mail:hitoshin1127@endmet.med.osaka-u.ac.jp
次回第405回CNCは消化器外科学Ⅱ 土岐祐一郎先生のお世話で3月9日(月)に開催予定です。