第411回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC)
第411回 大阪大学臨床栄養研究会(CNC) | |
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日時 | 令和5年10月16日(月)18:00〜 |
開催方法 | 大阪大学医学部講義棟2階 B講堂(吹田市山田丘2-2) |
テーマ・講師 | 「重症患者の腸内細菌叢と腸管内治療 |
概要 | 腸管、特に腸内細菌叢は、敗血症、外傷、熱傷などの侵襲の影響をうけ、全身の炎症反応や多臓器不全の進行に中心的な役割を果たすと考えられている。健常人の腸内細菌叢は、多様な細菌がバランスを保って恒常性を維持しているが、侵襲により腸内細菌叢は受傷後早期より急激に変化し、便中の常在菌である総偏性嫌気性菌数、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)が著しく減少し、便中のpHも上昇していた (J trauma,2006)。特に、健常細菌叢の大部分を占める総偏性嫌気性菌数の低下や腸内細菌叢の崩壊(Dysbiosis)は菌血症の発症や生命予後とも相関していた(Digestive Disease and Sciences,2011)。 腸内細菌叢を維持する治療として、早期経腸栄養だけでなくプロバイオティクス・シンバイオティクス療法の感染合併症への予防効果を報告してきた(Crit Care,2018)。生体に有用な菌であるプロバイティクスに加えて、その増殖因子であるプレバイオティクスを併用するシンバイオティクスは、より腸内環境を整える治療である。シンバイオティクス療法は、腸内細菌叢を維持することによって免疫能を強化し、侵襲外科術後や外傷後の感染合併症だけでなく人工呼吸器関連肺炎を低下させる治療法として多くの報告がある。しかし、既存の治療で改善しない抗菌薬関連などの下痢症の難治例に対しては、下痢だけでなく免疫の恒常性を回復するためにも腸内細菌叢の再構築が必要であり、院内全体の難治性下痢症を対象に特定臨床研究として糞便微生物移植を行っている。実際の症例も提示して考察する。 ※本研究会は医学系研究科 単位認定セミナーです。 |
世話人:高度救命救急センター 小倉 裕司
E-mail:ogura@hp-emerg. med.osaka-u.ac.jp
次回、第412回CNCは、消化器内科 小玉尚宏 先生のお世話で令和6年2月19日(月)に開催予定です。