教授リレーエッセイ

自転車と林道 生体物理工学講座 画像定量解析 田中 壽

教授 田中 壽

趣味といえば自転車である。しかし自転車というと多くの人には、国道をすごい速さで走るロードバイクと誤解される。そのような体力や度胸はもちろんなく、私がやっているのは「自転車による林道のそぞろ走り」が最も近い。リレーエッセイには日本の里山の美しさについてのものがあったが、里山に続く林道もよく整備されていて美しいものが多い。晩秋に出かけると、虫はなくなり鳥の鳴き声と遠く水の流れる音しか聞こえず静かである。場所にもよるが1時間くらい人間に出会わず、代わりに時に鹿を見かける。


北摂の箕面、茨木、高槻およびトンネルの先にある豊能、能勢、亀岡には車がほとんど走らずサイクリングに好適な場所が多数ある。最近は自転車を分解して車に乗せて、1時間くらい車で走り現地で組み立てて2時間くらい自転車に乗り、それからまた車で帰ってくることが多い。総行程は約4時間くらいなので、朝8時に出ると午後は違う用事に充てることができる。なお自転車は特別なものではなく大学生がよく通学に使っているクロスバイク(の少し良いもの)で、分解・組み立ては10分以内で終了する。


この趣味の楽しみの一部は事前のコース検討である。google mapや国土地理院の地図を参考にすることが多い。google mapは通常の表示のほかに、航空写真、標高の表示があり参考になる。またストリートビューはさすがに林道の奥の方までは表示してくれないが、手前のアプローチやそこでの交通量などがわかるので役に立つ。ちなみにストリートビューは想像以上に末梢の細い道まで表示してくれているが、そこからどのように車をUターンさせたのか他人事ながら心配になる。また国土地理院の地図はgoogle mapに載っていない道も表示してくれる利点があり、中学校の社会科で使っていたので懐かしさもある。


自転車の良いところの一つに、手軽で通勤・通学の実用から趣味までが連続していることがある。私も保健学科から医学部附属病院までの移動は自転車ですることが多く、その際に本部への坂道を上がり次回の林道に備えている。良いところのもう一つは、歩行に比べて膝への負担が少なく運動という点でもお勧めできることである。
先生方ももしご自宅の近くで走って気に入られれば、ぜひ里山・林道にもお運びいただきたい。