教授リレーエッセイ

癒しを与えてくれる馬の魅力 総合ヘルスプロモーション科学講座 小西 かおる

 2026年(令和8年)は、十干と十二支が重なる60年に1度の丙午にあたります。活発で行動力があり、物事がスムーズに進みやすい年として知られ、新しいことを始めるのに縁起が良い年と言われています。

 人と馬との歴史は古く、今から約5,000年前に、それまで食用として狩猟の対象であった馬が家畜化されるようになりました。速く走ることができ、持久力もあるため、移動や輸送、農耕にも利用されるようになりました。古代では、馬は戦いにも活用されるようになり、騎兵の優劣が勝敗を分けるとまで言われるようになりました。日露戦争や太平洋戦争においても多くの民間馬が軍馬として物資や兵器の運搬に従事しています。映画「キングダム」シリーズは、大迫力の乗馬アクションが堪能できる映画として有名ですが、この映画をきっかけに乗馬を始めた俳優も少なくないそうです。

 馬が身近な国の代表としてモンゴルがあげられますが、「人口より馬が多い国」と言われるほど、馬は生活に欠かせない存在です。イギリスは、王室の伝統や近代競馬の発祥地としての文化があり、ロンドンの騎馬衛兵は人気の観光スポットでもあります。ドイツやフランスは、乗馬が身近なスポーツや趣味として親しまれており、日常生活の中で馬をみかける機会も少なくありません。一方、日本は競馬の馬券売上や賞金総額が世界トップクラスであり、お金をかけずにエンターテインメントとしてレースを楽しむファンもいるようです。「ウマ娘プリティーダービー」など日本独自のアニメやゲームのブームもあり、若い世代や女性層にも人気が広がっているようです。

 日本中央競馬会(JRA)の2025年度における事業収益は、約3兆5,384億円であり、純利益は約641億円だそうです。日本国内の競走馬の年間生産頭数は、8,230頭(2025年)だそうですが、全てがJRAに登録されるわけではなく、3,000頭以上の馬が競走馬として登録されず、登録されたとしても毎年約7,000頭もの競走馬が引退しています。実績を残した一部の馬は繁殖馬となり、再調教を受けて乗馬クラブなどで第二の人生を過ごす馬もいますが、多くは肉用馬として処分される厳しい現実もあります。

 馬に関する言葉は多く、相性が良いこと意味する「馬が合う」、制御・管理する意味の「手綱を引く」、勢いをつける意味の「拍車をかける」などは日常的に使われていることからも、人と馬の歴史の長さを感じます。馬は、心身の機能回復や癒しをもたらしてくれる効果もあり、ホースセラピーとして医療の世界にも広がってきています。大阪周辺にもホースセラピーを体験できる場所は意外に多いので、興味のある方はのぞいてみてください。